自らの想う物と相手の考えることの隔たり

前世の話にはなるが、エド達兄弟は母親が亡くなった事に加えて父親が行方不明の状態であったことから両親がいない環境という状況で過ごしてきた。幸いにも周りの環境が良かったことから暖かい環境で過ごすことが出来たが、それでも親・・・行方不明の父親はある時期まで毛嫌いしていたから別にしても、母親への想いは確かに存在していたから行動に起こしたのだ。

それで旅が進んで父親とのわだかまりが無くなった上で旅を終えて故郷に戻った際に、父親が満足そうな顔で母親の墓の前で亡くなっていた・・・と聞いた時、エド達は様々な感情が溢れ出したが母への愛もあったが自分達への愛情もあったのだという考えに真っ先に到ったのだ。

それでエド達兄弟はそれから時間が経った後に自分達も親になったのだが、先に話したように愛情も時間も子ども達に注げたと思っている。勿論順風満帆という訳ではなかったが、それでも周りの助けも借りながらだったりしながら親としての務めは果たせたと思っているが・・・そんなエドからしたなら優作達は財政面に関してを除いて、親としてもだが人としても好きになれない人物達だと思えたのだ。その理由の最もたる物が何かと言えば、自分達の都合というかやりたいことを優先する形で新一と共に過ごすことなく、親として向き合う時間など取ろうとしていないことだ。

・・・これに関しては他人の家に関して口出しする権利などないと分かっている上で、一人家にいる新一がむしろ二人がいる時よりイキイキとしている姿があることから失敗ではないのだろうと普段は理屈でそういうものだと押さえ込んでいる。しかし前世の経験からどうしても考えてしまうのだ・・・金を与えるだけ与えて一人で暮らせなどというそれを実行してしまうその在り方は、子どもの立場と親の立場から考えてみたならとても許容出来る者ではないと。

勿論エドは優作達が悪人でないことは重々承知はしているし、小説家という仕事をしている事から閉塞的な環境にいるよりは刺激を受ける為に行動している面もあることもまた承知はしている・・・しかしそれが仕事をする上で絶対必須な事ではないことも察知している上で、道楽の面の方が強いとしか思えないというのがエドの見方だ。実際日本にいる時も仕事をしていると言いつつもいくつもある締め切りをほっぽりだし、遊びに行ってることもしばしばあったというのは何度も聞いたことがあった。

確かに真面目一辺倒で休憩も息抜きもなく行動するのが正しいと言えることではないとはエドも思いはする・・・しかし前世の父親についてを昔こそ嫌いはしたが今となってはあの行動は重要な理由があったのだと理解しているエドからしたなら、やはりどうしても明らかにそんな道楽生活を妻の有希子共々楽しんでいるだけにしか思えない優作達の姿は親としては認めたくない物だった。新一は一人でうまくやっていけると信頼して実際にそう出来ているといった言い分はあるのかもしれないし、新一もむしろ今更優作達との同居について切り出されても乗り気になれないというのもあるだろうが・・・やはりその辺りは気持ち的な問題として気に入らなかった上で、今回のような事が起きて先程の小五郎への発言なのである。

・・・流石にあの発言に関してを聞いた時には、エドはもうどうしようもないと思ってしまった。親としてだけでなく人として見ても、あまりな発言だということに対して。だがだからこそエドも決意をしたのだ。自分も工藤家や蘭に対してある対価を支払う決意を・・・









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