自らの想う物と相手の考えることの隔たり

では何が似通っているかと言えば、まずは自身が望んでいた結果とは全く別の結末・・・それも極めて不本意などというレベルではない事が体に起きたことだ。体を失うと縮むという違いこそはあるが、そこについてはいいだろう。細かいこととは言えない違いだが、それでも質は似ていると言えば似てはいる。

その上で更に似ていると言えることとしては元の体に戻りたいという意志についてだ・・・エドにその弟は後の事もあって母親の蘇生は出来ないということを知ったからそこは断念したが、それでも元の体に戻れる可能性については有り得た事から弟共々にその為に行動を起こすことにした。

だがそうして似ているというエド達兄弟と新一の違いについて、決定的な物があることをエド自身は理解していた。そしてそれが何かと言えば・・・






「・・・つーか優作さんに有希子さん。あんたらはあんまりにもあっさり新一の言うことを聞きすぎだってこともそうだけど、新一を小さくしたって奴らが危険な奴らだってのは分かる筈なのに、おっちゃんに何も言わねーし新一が協力を嫌がるだろうからってあっさりと引くとか・・・あんたら色々と親としても人としてもどうかと思うぞ。新一を信頼してるとか大丈夫だろうみたいな考えなのかもしれねーけど、危険な事には変わりねー上におっちゃんだけをのけ者にするってのをろくに考えないってのはよ」
「そ、それはえっと・・・貴方・・・」
「う、むぅ・・・」
そうしてエドが今度は夫妻に言うことがあると冷たく口にしていったその中身に、夫婦揃って戸惑うしか出来ずにろくな答えが返ってこなかった。






・・・それは周りを取り巻く環境と言うか、人の違いである。

エド達兄弟が元の姿に戻りたいと動くことを決めてから、母親が亡くなっていて父親は当時は理由も話さず行方不明になっていたことから幼馴染みとその祖母が家族がわりのような物になっていたのだが、その時や以降にも旅に出るまでに何度も話し合いをしたし、その話し合いから理解を得られた後はせめてものサポートをと色々としてくれた。その後に旅の最中でも時折困った時に助けてもらう形でだ。

その事に関してエド達は十二分に感謝をしていた。自分達に対して正面から向かい合ってくれて、色々と助けてきてくれた事にだ。そして旅やらで出会った中でも自分達と敵対する者もいる中で、まだ年若かった自分達を助け諭す者達もいて色々と救われてきたこともあった。

そういった出会いもありエド達は全て何も失わずに皆が皆ハッピーエンドと言った結末とは言わずとも、父親が行方不明であった大元の理由であった存在と対峙して旅の目的の全てとは言わずとも果たすことは出来た。それこそ自分達だけの独り善がりな行動を貫いていたならそんなことなど出来なかっただろうと、周りの人々に対する感謝を抱く形でだ。

だが新一の考えたことはまだエド達と近いとは言えても、蘭に優作と有希子夫妻の発言はそんなエド達の幼馴染みと祖母とは全くの真逆・・・ちゃんと考えた物とは程遠い勢いばかりの賛同であり、あまつさえ全く関係無い筈の小五郎を利用しようと即決させて笑いあったのである。

・・・蘭がそんなことを言い出すことは流石にエドもそうは想像はしていなかったが、それでも嫌な予感は優作達を交えて話をすることにした時には感じていた。それにそもそも元々からエドは優作達の事に関して、新一と同等かそれ以上に好きになれない存在だと思っていたのだ。その理由は親としての在り方である。









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