いつかを変えることの代償 後編

「・・・どちらにせよ、我々はもうかつてを変えた身です。私は金田一君とはまた会うこともあるとは思いますが、高遠の言葉を信じるならもうかつてほど金田一君と事件を共にすることはないでしょうからね。その分の時間が失われるのはもう仕方無いことだと思っていますし、毛利さんなら尚更でしょう」
「・・・変えた分の時間が失われるのは、か・・・確かにな。俺はもうあいつらと関わること自体を避けることにしちまったんだから、他人としてすら一緒の場にいることもまずねぇんだろうしな・・・」
ただ明智が続けて漏らした言葉に、小五郎も気恥ずかしさをすぐに忘れて同意する・・・いくら自分から選んだことであっても明智と違って事件でなくとも新一達と一緒にいられることはないと、そう改めて理解して。
「ただ代わりに得たものとしてはかつてを変えられた事もそうですが、毛利さんと知り合えたことです・・・毛利さん自身は大したことないだとか年下に頼りたくないと言うでしょうが、それでも私からすれば恩人であり、立場を同じくする同士であり、歳の離れた友人のような方であると思っています。そんな方に力を貸すのは当然だと私は思っていますよ」
「っ!・・・そこまで言ってくれるってのか・・・!」
しかしだからこそ明智も明智として、出会うことが出来た小五郎に力を貸す価値のある者だと思うと笑顔を浮かべて語り、小五郎もその気持ちに感じ入ったように声を漏らす。
「・・・わーったよ。その代わりオメーが何か一人じゃ出来ないことがあったりとかしたなら、遠慮なく俺を頼んな。オメーに比べりゃ俺が出来ることなんざ少ねぇだろうが、それでも力になるって言ってくれたダチに助けてもらうだけなんざ気分がわりぃからな。力になるぜ?」
「・・・フフッ・・・ありがとうございます、毛利さん。では何かありましたらお頼みしますよ」
そして小五郎はそんな心意気に答えようと自分も同じようにすると仕方ないと言ったように態度を取り繕いつつも絶対にそうすると自信を持って答え、明智もまた笑顔を浮かべた。裏がなく、本音でそう言ってくれる小五郎の忌憚ない言葉に・・・


















・・・かつてを変えた事の代償は以前との縁を少なからず断ち切った事にある。それが良くとも悪くとも。

だがそうしたことで得られた物もある・・・かけがえのない物も。

失うことと得ることの機会は平等であり不平等である・・・重要なのは選択する瞬間を過たない事にある・・・自らにとって必要な物が何かを。

その結果として二人の男は得ることが出来た・・・かけがえのない唯一の友と呼べる人物を互いに・・・









END・・・?









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