自らの想う物と相手の考えることの隔たり

「言いたいことがあんのは分かる・・・何でこんな騙し討ちみたいな形をしたのかだとか、最初から話し合いに参加させなかったのはどうしてなのかとかな・・・ただこれに関して言わせてもらうなら、新一と話して襲った奴らを自分の手で捕まえるのを諦めねぇって言い出した時からおっちゃんにはこの数日の内に、博士から内緒で話をしてもらったんだよ。蘭が新一の事を知ったってのもあるけど、優作さん達も交えた話の中で新一や蘭が渋ったり引くような素振りを見せなかったら、おっちゃんも話に入ってこれるようにスタンバっといてくれないかってな」
「なっ・・・ほ、本当なのお父さん・・・!?」
「・・・あぁ、本当だ。つっても俺もこんなことになるなんざ思っちゃいなかったがな・・・!」
エドがそんな中でどうしてこんなことをしたのかの理由についてを語っていき、蘭が驚愕の目を向ける中で小五郎は一層怒りを我慢するように声を漏らしていく。
「・・・最初博士が蘭がいない時に事務所に来て、新一がそんな体になったなんて聞いた時は冗談だろって思ってた。つーか実際の所は今も嘘なんじゃねーかって思いてぇ気分だ・・・だが博士やエドが嘘を言ってる感じじゃねーって思った上で、話はこの日にする予定で話を外からでも聞けるようにするから来てくれって言われたから一回くらいは付き合ってもいいかって来てみりゃ・・・随分好き勝手言いやがっててめぇら・・・!」
「お、お父さん落ち着いてよ!」
「落ち着けだと!?それもこれもてめぇらのせいだろうが!俺をヘボで役立たずだから何も知らせず使い倒すだと!?ふざけんじゃねぇ!俺はてめぇらの都合のいい人形じゃねぇ!」
「「「「っ・・・!」」」」
そして自分がどうしてここにいたのかを話しつつも自分がいかな気持ちに考えを持ったのか・・・鬼気迫る表情とありったけの怒りをぶつけるように言葉にして行く小五郎に、なだめようとした蘭も工藤一家三人もただ圧されて言葉を失うしかなかった。緩く和やかな気持ちになっていた四人に、小五郎の熱を受け止める覚悟の土台などあるはずもなかったために。
「・・・俺としちゃ元々こんな流れになってほしいって思ってこうしようと思ってた訳じゃねぇ・・・本当なら俺達の言葉を聞く可能性の低い新一のストッパーだったり説得役、そして新一と蘭の身近な大人として事情を知っといてもらった方がいいって思って来てもらったんだ。ただ新一もそうだけど、蘭に優作さんに有希子さん・・・あんたら何言ってんだよ・・・」
「「「「っ・・・」」」」
だがそこでエドが脱力せざるを得ないと口にした言葉と下がった頭を見て、四人は小五郎とは違った意味で動揺に揺れてしまった。エドの予想を悪い意味で越えてしまったのだと、その姿から理解して。






・・・数日前に阿笠にエドが頼んだこと。それは小五郎との渡りを平日の蘭がいない内に内密に話を博士に進めてくれということだ。これはエド自身がやれないわけでもなかったが、平日は学生として新一や蘭達と同じ高校に通っている事から優作達が帰ってくるまでに小五郎と会って話すには十分な時間が取れないことが予想出来たことや、小五郎の性格上エドが話をしても子どものイタズラだとかタチの悪い冗談だと捉えられると見たからだ。

その為に阿笠に話をしに行くように頼んだ訳であるが、それでもやはり事が事なだけに半分以上信じきれてないといった様子だったが一応約束は取り付けられたということで、実際に話を聞けばどうにかうまく行くだろうと新一に分からないようにと下準備を進めて事に挑むことにしたエドだが・・・結果は今の通り、エドからして予想以上に酷いものとなったというわけである。









.
14/27ページ
スキ