自らの想う物と相手の考えることの隔たり

「だから俺に博士が話し合った結果としてそいつらを追い掛けたいって思うのは個人の意志だから止めることは出来ないし聞く気はないんだろうけど、そうして諦めないんなら隣の家に残るのは止めとけって言ったんだよ。そういったことをするんならそういったことをしやすい環境に行くこともそうだし、数日前に言ったけど優作さん達がいない中の今の体で隣の家で活動なんてとても出来るようなもんじゃねーだろうからな」
「それは・・・言われてみれば確かにそうなんだろうけど・・・」
そうして自分の考えについてを強調するように話をしていくエドに、蘭は納得しかけながらもそうはなりきれない感じに視線をさ迷わせる・・・この辺りは本人は恥ずかしがりつつ否定する癖があるが、新一という想い人が危険に突っ込む事やしばし遠くに行くことを嫌がっているのが分かるよう。
「・・・言いてぇ事は分からねぇ訳じゃねぇよ、エド・・・確かに一人でどうにか工藤家で暮らすことは出来ねーっつーか、怪しいとか色々言われるだろうから無理だろうってのは分かる。それに父さんのツテを頼るってのが正しいっていうか、早いんじゃないかって言うのも・・・ただ一人で暮らすのは無理だってのは理解はしたけど、それ以外は俺がやりたいんだ・・・あいつらを捕まえるのも、元に戻れるようにするのも・・・!」
「・・・新一・・・」
だがそこで当の新一が引くつもりはないとハッキリ言い切る強い表情と声を向けてきたことに、蘭はそれでこそ新一と言わんばかりの微笑を浮かべた。ここで引くなんてらしくないというよう。
「・・・新一がそういった風になるのは予想は出来てたよ。けど二人はどう思うんですか?今の気持ちを聞いた上でどうするかってのもそうですし、その答え次第でどうなるか変わるだろうけど・・・」
「あっ・・・確かに、二人がどういう答えを出すのか気になります・・・」
そんな秘めた熱とは対照的に冷めたように冷静に話題を親二人に振ると、蘭も新一も気になるというように視線を向ける。
「・・・どうするの、貴方?新ちゃんは手助けは欲しくないって言ってるけど、エドちゃんの言ったように人のいないあの家に一人でっていうのは無理があると思うんだけれど・・・」
「それは確かにそうだが・・・博士の家で新一を預かることは・・・」
「っ、博士の立場的にそんな事件に積極的に関わるとか以前の問題になるのは目に見えてるでしょ。博士は探偵でもないし警察関係でもない研究家とか開発者って言われるような人なのに、いきなり子ども連れて探偵紛いな事をやるとか子どもが行うって無理があります。そしてついでに言うなら在日外国人の俺の家なんか俺も含めてもっと有り得ないですって。在日外国人の家に日本人の小さな子ども一人が逆ホームステイなんて怪しすぎますし、何より両親にはこの事は一言も話してないから話したらそんな危険なことに関わるなって言われるのは目に見えてます・・・だから俺は新一が引くつもりはないだろうって見越したのもあって、工藤家から離れろって言ったんですよ。俺の家もそうだし、博士の家も新一の居場所としても奴らを捕まえるって目的の達成をしたいって言うんなら、誰もいない隣の家にいてもいいことなんてないってね」
「っ・・・そういうことか・・・」
有希子はその視線に自分は判断できないと優作に聞くとナチュラルに阿笠に預かれないかを利いてきた為、一瞬眉を寄せながらもすぐさま平静を装うエドからの理詰めでいて自分達は無理だとの返しをすると難しいといった表情で納得した。二人の家は適していないのだということに。
「・・・あっ!ならうちに来ればいいじゃない!お父さんは適当に誤魔化して、その人達を見付けるためにお父さんにも頑張ってもらう形でさ!」
「「っ・・・」」
そんな中でさも名案だと言わんばかりに蘭が明るい表情で自分の所にと言ったのだが、その中身にハッキリとエドと阿笠の二人は眉を寄せた。どう好意的に聞いても実の父親に対しての言葉にしては、あまりにも身勝手が過ぎる物に。









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