自らの想う物と相手の考えることの隔たり

「だから取りあえず今日の所は蘭はおっちゃんのとこに帰れよ。優作さん達がいつに戻ってきて話し合いをするかって時には連絡するからよ」
「おいエド、蘭も呼ぶのかよ?」
そんな姿に後日というように話を進めるエドに新一は何故蘭までと批難めかせた響きで口にする。
「呼ぶのかってよりどうなるか自分がこの事を知らないまま終わるなんて嫌だって性格してるのは理解してるからだよ。下手にその時の事を言わねーままに話を進められたくねーってな」
「当たり前じゃない!新一がそんなことになってるっていうのに放っておけるはずないじゃない!」
「蘭・・・」
対してエドが答えは分かりきっていると言うように口にした蘭の行動に当人が叫ぶように返した言葉を聞き、新一は複雑そうに目を細める。ただエドはそんな光景を微妙そうに見て、阿笠は心配そうな表情を浮かべていた。


















・・・そんなやり取りをした後にエドが新一を小さくした奴らに新一が生きていることがバレるようなことになれば良くないことになりかねないから、新一が死んだとは言わないにしてもこういう状態になっているとは少なくとも優作達と話し合いをするまでは絶対に誰にも伝えず広めもしないように・・・と蘭に言い含めた。

その言葉に蘭は知り合いの目暮警部達にくらいはと食い下がってこようとしたが、情報がどこから漏れるか分からないしありがた迷惑な親切で何か勝手に起こされたなら、周りもそうだが他でもない小さくなった新一当人が一番危ないことになりかねない・・・と新一を小さくした奴らが自分達のやったことを広められる事を手段や人命を問わずに阻止しに来かねないと言ったことで、ようやくそういうことならという形で引くことになった。

そうして蘭はようやく工藤家から出て、エドと阿笠は戸締まりだとかしてからこっちに来るようにと新一に言い残す形で工藤家を後にして阿笠邸に戻った。



「・・・しかし本当に良かったのかのう、エド?あのようにして・・・」
「仕方ねーってより、手が足りねーんだよ。それになんつーかハッキリとは言い切れねーんだけど、あんまりいい予感がしねーんだよ。その時に俺と博士だけだと数や勢いで押し切ってきそうだとかな」
「数や勢い・・・?」
「その事に関しちゃ今の内にもそうだけど後でもまた話す。この事に関しちゃ新一にバレたらどうなるか分からねーからな」
そうして二人が阿笠邸に入るのだが、エドは阿笠の不安そうな声に答えつつ自分の考えを口にしていく。意味深でありながら、新一への警戒心を露にしながら・・・


















・・・そうして数日程時間が経ち、電話を受けた優作達が話をするために日本に戻ってくるという日になった事でエドと阿笠は阿笠邸に関係者に来るようにと集まりをかけ・・・全員が集まった。



「・・・新一・・・」
「・・・本当に新ちゃんなのね、貴方は・・・」
「・・・父さん・・・母さん・・・」
・・・そうして阿笠邸のリビングにて。
エドと阿笠が蘭と新一が並びその背を見る中、新一が本物の新一であることの証明の為に目の前の優作と有希子の親二人にしか通じないだろう思い出話をすると・・・二人も目の前の小さな子どもが本当に自身の子である新一なのだと理解し、複雑さを隠しきれない表情を浮かべて新一もまた同じような表情を浮かべた。久方ぶりの再会がまさかこんな形になると、どちらも思っていなかった為に。









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