自らの想う物と相手の考えることの隔たり

「あっ、遅かったじゃない二人とも・・・ってあら?その子、誰?」
それでゆっくりしていた蘭は三人が来たことに気付くが、新一の姿に首を傾げる。



「こいつは新一だよ」



「「っ!?」」
・・・だがエドがなんの事もないように口にした言葉に新一もだが、蘭も驚愕に目を見開いてエドを凝視した。
「お前らの言いたいことは分かる。新一はなんでそんなことを言うのかだとか、蘭はどういうことかってな。だから今から蘭に説明してやるよ」
「お、おいエド・・・」
「黙ってろ。お前の感じからその事を蘭には話したくねーって気持ちになってるのは付き合いから分かるけど、正直この状況じゃろくに誤魔化しがきかねーのはお前も分かるだろ」
「うっ・・・くそ・・・」
エドはその二つの視線に揺るぐことなく起きた出来事についてを話すと切り出し、新一が渋る様子を見せるがすぐに返された言葉に声を詰まらせ苦い表情を浮かべる・・・事実蘭が来たことについては風呂から上がる頃になって聞かされた新一に詳しい自分の今の小さい体の仮名や設定を考える時間も無かった上に、エドがあっさりと誤魔化しに協力する気が一切なく事実を明かしたことで諦めざるを得なくなったと。


















・・・そうしてエドは新一から聞いた話についてを新一の口からは要点の時にだけ発言させ、自身の口から話をしていった。そうしたのは新一の口からではこういう時はやたらと感情的でいて説明したくない事を省く性質があることを分かっていた為、余計な手間にならないようにするためだ。

そしてそんな話を聞かされた蘭は最初は嘘だろうというように疑いながら話を聞いていたが、トロピカルランドでのデートの中身や事件の事についてを詳しく話させ二人以外に知る事実が無いことも新一に話させたことで次第に蘭は愕然としたようになりながらも事実なのだと認識していった。



「・・・そんな・・・新一・・・」
「蘭・・・」
・・・そうしてエドが一通り話をし終わり蘭が涙を溜めて視線を向ける姿に、新一は気まずそうに視線を背ける。
「色々話したいことはあるだろうけど、一先ずこの件に関しちゃ今ここで全部話すってのは無しにしといてくれ。さっき博士と話したが、新一の事について話し合うために優作さん達を呼ぶことにしたからよ」
「と、父さん達を?」
「何で二人を・・・?」
しかし空気を敢えて無視して話を進めるエドだが、話に出てきた優作達についてに新一と蘭は何故と疑問を向ける。まるで二人に話すことなど微塵も考えていなかったというよう。
「・・・お前ら、そんな体になったってのに新一の両親に相談もしねーでどうしようとしてたんだよ。特に新一・・・お前小さい体の事を認めたくねーのかもしれねーけど、そんな体でこの家に一人でずっといるとか色々な意味で問題になるかもしれねーんだぞ」
「うっ・・・」
「そう言えばそうよね・・・」
だが呆れた様子で頭に手を当てながら返すエドの言葉に、新一は言葉を詰まらせ蘭も確かにと言うように頷く・・・小学生低学年程度の子どもが親の庇護もなく家に一人で暮らすことなど、端から見たならあまりにも異質でいて何らかが起きていると見られてもおかしくないと。
「だから一先ずは優作さん達が来るまでは新一は外に出ないよう博士の家で大人しくして、優作さん達が来てから話をするぞっつってんだ。電話だけで話すと一々面倒だし、実際に会った上で色々とどうするか決めた方がいいだろ。特にこの家にいたいだとかこの先の身の振り方とかを決めるにしても、優作さん達がいないとどうしようもないだろうしよ」
「・・・確かに認めたくはねーけど、今の状況じゃ俺一人でこの家に住むのなんか無理か・・・」
だからこそ・・・そう話すエドにようやくといったように新一も苦い表情で頷くしかなかった。自分が子どもの体であることから、一人ではどうしようもないというのを理解せざるを得なくなって。









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