自らの想う物と相手の考えることの隔たり

‘ピンポーン’
「チャイム?・・・誰か来たのかのう?」
「あ~・・・だから博士の家に行こうって言ったのによ・・・」
「新一が自分の家なんだから自分の家に入りたいって頑固になっとったからのう・・・」
そんな会話をしている内にチャイムが聞こえてきて、二人はそちらの方に意識を取られつつエドは愚痴を口にして阿笠も何とも言えないというように漏らす。新一の気持ちを優先したことに。
「・・・とりあえず博士が出てくれ。宅配とかだったら俺よっか博士の方がこの家の人だって対応出来るだろうしよ」
「まぁ今の新一を出すよりはその方がいいだろうから出てくるぞ。ちょっと待っといてくれ・・・」
しかし愚痴ばかりを言ってはいられないとエドが阿笠に応対に出るように理由も添えて頼めば、仕方無いというように外へと向かう。
「・・・本当にどうすっかな、マジで・・・」
そうして一人になったエドは頭をかいて困ったと頭をかく。優作達を呼ぶとは言ったが、今の状況からあまり自分も含めて良いことにならないだろうという予感から。






・・・だが数分後、エドは困り顔の阿笠と深刻な様子を浮かべる蘭・・・新一の幼馴染みであり、いずれ引っ付くであろう女性が玄関に共に来たことにエドは口元をひきつらせた。
「・・・博士、なんで蘭が?」
「いや・・・新一が昨日から帰ってこないことや連絡が取れなくなったことから、何か妙な予感がしたことからここに来たら明かりがついていたから訪ねたのだそうじゃ・・・」
「・・・そういうことか(なんつーか昔からこういう野生の勘みたいな部分があるんだよな、蘭・・・)」
エドはそんな蘭当人ではなく阿笠にどういうことかと聞き、複雑そうに漏らした答えに曖昧に返しつつ内心で口にしないように漏らす。理屈的な部分が多い新一に対し、直感的な部分で考える事が多い上にそれで自分の求める正解に辿り着く事が多かったのはエドも前に幾度か見てきた事から・・・あまりいい予感を感じなかった為に。
「ねぇエド、新一は帰ってきてないの?というか何で博士と一緒にこの家にいるの?」
「・・・あ~・・・ちょっとリビングで待っててくんねーか?少し説明すると面倒だし、今ちょっと風呂入ってるからすぐって訳にはいかねーんだ」
「お風呂?・・・仕方無いわね~。じゃあリビングで待ってるから早くしてね~」
そんな蘭が早速と新一についてを聞いてきたことに頭をかきつつ何とか待つようにとエドが言うと、風呂という言葉から流石にそこに突っ込めないとリビングに行くと勝手知ったると言うように工藤家の中へと入っていった。
「おい、エド・・・」
「・・・言いたいことは分かる。けど無理矢理追い返すような事を言うとむしろ蘭は新一は帰ってきてるんだろって感付くのは目に見えてるだろ」
「む、むぅ・・・確かに蘭君のこういった時の察しの良さは侮れんからのう・・・」
その姿を見送った後に阿笠はエドに耳打ちする形でヒソヒソ話しかけるが、同じくヒソヒソ声で返ってきた答えに否定出来ないと苦く漏らす。エドと同じような考えを阿笠も感じていた為に。
「・・・なぁ博士。ちょっと頼みがある。耳を貸してくれ・・・」
「ん?なんじゃ?」
それでエドは何かを決心したというように阿笠に話し掛け、耳を向けてきた事にそっと自分の考えを話始める・・・


















・・・そうして数十分後。風呂から上がりあらかじめ家の中を探しておいて子どもサイズの服を来た新一にエドと阿笠は蘭が来ている旨を話してリビングに行くようにと説得して共に向かった。

ただ最初こそはこんな姿で会えるわけねーし説明出来るわけねーだろと言っていた新一だが、新一に会いに来た蘭はこの家に明かりがあった上で自分達がここにいることで新一が帰ってきてると思い、新一の所在を確認するまでは帰らないだろうからどっちにしろ蘭と相対しないといけない・・・とエドが説明すると、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら分かったと頷いてリビングに二人と向かった。









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