恵まれた場所より放逐された探偵

「・・・僕はキャリア組かどうかということで人を判断するつもりもありませんし、そこを目指す事が悪いとも言いません。ですが彼が警察に入った目的も、キャリア組に入ろうとしていたという理由も、全ては探偵になるためであるとの事でした・・・そしてまず間違いなく彼があのまま特命係にいたとしたなら、探偵事務所を開く資金が貯まったから辞めますというようにあっさりと口にしたでしょう。それで事件現場に特命係にいた頃・・・いえ、それ以前から事件に関わってきた時のような形で来るようにしてきたと思われます」
「そんなことになりゃ当然問題になるどころじゃねーのは分かるし、工藤の言い方だとさも警察と共同で捜査出来るのが当然みたいな感じで来てたんだろうな。前に警部達が探偵に絡んだことがあるのを覚えてるけど、あんな工藤みたいなタイプじゃなかったろ?」
「えぇ、そうです。一見人のいい顔でよくいそうな人と言った様相でしたが、あの方は自身の底を見せないようにして分を弁えながら僕らに動く口実を与えて過度な干渉をしないまま僕らを事件解決に誘導してきました。あれなら多少問題はあると見ることは出来ても、工藤君のような形でずけずけ事件現場に介入することがなかったので捜査妨害だといったように処置を取られる事はありませんでしたからね・・・ですが、工藤君は違います」
杉下はそんなキャリア組についての話を継ぎつつ探偵としての活動についてへ話題を転換させ、角田が口にした以前に会った探偵であるマーロウと自称する男についてを賛辞するように話した所で、新一の事になった時に角田の方に振り返る。
「工藤君が探偵となったとしたなら、それこそ事件現場に勝手に踏み入り事件の謎を解くためだと嘯きながら動こうとするでしょう。それが望ましいことではないというように考えるのではなく、自分という探偵が関わるのは当然だというよう・・・むしろそうでない方がおかしいといったようにです」
「一応探偵って一般人にあたる筈なのに、そんなことを考えるって正気なのかよ・・・」
「正気というよりは常識なのでしょう。工藤君にとっては探偵が事件に関わり、事件を解決してその手柄を我が物とすることは・・・ですがそんなことは本来では許されるものではありません。そして僕はその話を聞いた時にそういったことは許されるものではないと言いましたが、聞く耳を持たないどころか特命係に対する対応も含めて警察が間違ってるといったような事を返してきました。そしてそれからも度々彼に注意の言葉を向けてきましたが・・・それらは全て馬耳東風となり、僕の中での彼への気持ちが冷えていったのだと今の課長との話で考えたのです」
「あぁ・・・そりゃそう聞きゃ警部殿の気持ちも分かるわ。そしてそういって冷えた気持ちから、昔のような感じに知らず知らずになっちまってたってことか」
「そうなります」
そうして新一が探偵になったならについてに、いかに杉下がそれらについてちゃんと考えるようにとの言葉をかけてきたのか・・・それらが全て水泡に帰したと言った杉下の言葉に角田も同情めいた雰囲気を浮かばせる中、杉下は角田の横を通りホワイトボードの前に立つ。









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