いつかを変えることの代償 後編

探偵として在ることに、誇りを持つことが間違っているというわけではない。しかしそういった考えに凝り固まり、一般的な常識とかけ離れるような事になった結果が・・・蘭との結婚生活の破綻である。

どのようなことでもそうだが、自分のやりたいことばかりをやることにしか目をいかせないと言うのは人に理解されることには程遠い行動である。ただ新一は昔から一緒によくいたし幼馴染みであることから、蘭なら理解してくれるだとか自分の事は知っているとタカをくくっていたがそれは驕りというものである。

むしろ大人になったからこそ子どもという立場に考え方から脱却し、結婚するなら様々な考えであったり行動の改革を行わなければそれらを維持する事は難しくなる。しかし新一は決して自分が悪いとは思わず、離婚という形になってもその姿勢を改める事は出来なかった。

・・・一般的な意味での常識に良識とかけ離れることがいかなものか、そしてその道に早くから進むことがどのような結果を生むのか・・・この件に関して以前の新一は理解出来なかったが、そんな性分である新一が現在中学生という身分で組織と対峙したならそれこそ明智が言ったよう、価値観が固まって高校以降の学生生活を蔑ろにする可能性は十分に有り得ただろう。






「・・・ちなみに安室はそんな考えについて、どういった考えだったんだ?」
「能力こそ惜しいものの、流石に工藤君にそんな道を歩ませるようなことはしたくはないと言っていましたよ。公安という立場で組織との関係が無くなったこともあり会ったり連絡しあうような事は少なかったそうですが、それでも工藤君達の結婚の事情に関しては話を聞いていたそうですからね。それでどうにか出来ないかとアドバイスをしていたようですが結局は聞き入れられず、私の話を聞いた後にそういうことなのかと納得していましたよ。工藤君の頑迷さに関してね」
「あ~・・・俺はあまり知らなかったが、安室はそんなことをしてたのか・・・」
ただ小五郎はふと安室の考えについてを聞くと、取っていた行動と納得はしていたと明智から返され知らなかったと漏らす。自分が関連してない所でさりげに安室も気を揉んでいたが、新一はそれを受け入れなかったのだと。
「そう言うわけで、私との話が終わった後の安室は彼の将来の為にも組織との戦いには誘わないようにすると言ってくれました。そして出来るだけ早く組織を潰すようにすると」
「・・・それで新一の将来が劇的に変わるんならいいんだが、そうはならねぇだろうな・・・」
「まぁ探偵になるのは規定路線でしょうし、彼の推理を頼りにしているのは目暮警部を始めとした米花町に関係する方々がいますからね。組織に関わらないから多少はマシになるといった所でしょう。我々にはそれを知る機会はもうないでしょうがね」
「だな・・・」
そしてまとめとばかりに改めて安室の言葉を口にした明智に小五郎は天を仰ぐようにしながら顔を上げながらそれでも新一の事は大して変わらないだろうと口にし、明智が同意しつつももう関わらない事だと告げたことに顔を元の位置に戻して頷く。元々新一を始めとして前世の面々とは関わらない位置に行くと決めた身で、これ以上深入りするわけにはいかないと感じたこともあり。









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