恵まれた場所より放逐された探偵

・・・今となっては杉下と一番警察の中で付き合いの長い人物は角田になる。これは特命係が組対五課の隣に配置されたからというのもあるが、それ以前も以降も知り合いが理由はどうあれ軒並み杉下の周りからいなくなっていっていることからであり、角田は変わらず組対五課の課長として存在しているからである。

その為に角田は昔の杉下の事を今となっては他の誰より知ってはいるが、それこそ今とは比べ物にならないほどに人を寄せ付けない雰囲気が強かったことをよく覚えていた。たまに頼む雑用程度の仕事は受け入れはするが特に親しくなる事も話すこともなく終わってたのだが、亀山が来て以降を考えれば色々と杉下が少しずつ変わっていったのも。

特にプライベートで食卓を囲む時の事を思い返した後、昔の杉下の印象から考えたら絶対に有り得ないという気持ちを角田は抱いていた。それこそプライベートの時間を職場の誰かと共有するなどやるはずがないだろうと。

杉下自身は妙な所で意地を張るところがあるために自分が変わったなどと言われてもそんなことはないと言うのが普通であるが、そんな杉下が前の自分と今の自分は違うと言った上で・・・その時の事を思い出したと言うのだ。他ならぬ新一の事でだ。






「今となっては僕もそう思いますが、その当時の僕に原因があったのもそうですがその時の人達が自分はこんな所にいるべきではないというように思った上で、そういったことを僕に口にして特命係に警察を辞めていきました」
「あぁ、そういやそうだったな。特命係でなんか揉め事が起こってるっぽいみたい事があったかと思いや、その数日の内には辞めてって・・・まぁここに配属された意味ってヤツを理解して警察官としてもう期待されてないなんて考えちまえば、そりゃ怒りに燃えはするだろうが・・・それが工藤とどんな関係があるんだ?」
「この五ヶ月彼と過ごしていましたが、彼は僕と動くこともそうでしたが自分一人の単独で動くこともありました。そしてそんなやり方を覚えてからは、最初の内こそ彼はそれこそ亀山君以前の彼らのように辞めたいといったような不満げな様子に言葉がありました。それは一見するなら特命係に馴染んだからこそとも取れますが、そんな姿に対して僕はある種の疑問を感じたので彼に質問をしました・・・それは君は警察に何のために入ったのかという質問です」
「・・・それで、どんな答えが返ってきたんだ?」
杉下は角田に同意しつつ以前の特命係の面々についても交えて話していき、新一に質問をしたとの言葉に角田が静かに先を問う。
「・・・目標を達成出来るようになるまで黙っているつもりだったけれど、元々は自分は探偵になる為の資金稼ぎの為に警察に入っただけでいずれ辞めるつもりでいた・・・本当はキャリア組として警察に入って稼げるだけ稼いで顔を売ってから警察を辞めて、警察と協力関係にある探偵として動くつもりでいた・・・とのことらしいです」
「は?・・・何だそれ?警察をなめてんのか?」
それで杉下から返答が返ってくる訳だが、その中身についてに角田の声にたまらないとばかりに苛立ちが滲んでいた・・・角田や警察に限ったことではなく働く所への誇りを持つ者は少なくはないが、新一の発言はそんな角田からしたなら色々となめ腐っている上にあまりにも甘く見すぎた発言だと感じて。









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