・・・話に出てきた内村刑事部長はその筆頭に上がるが、特命係が事件に関わること及び解決することに関してを上の立場の者はほとんど望んでいない。実際に警察の暗部に関わるような事であったり、権力者からの不興を買ったりしたこともあるためにだ。

しかし純粋な善意からではないにしても小野田や大河内のように特命係を廃そうとしない者達もいる上で、特命係が事件を解決したからこそ警察が今の面目を保たれている部分があるのだ。そんな事から内村刑事部長達からしてみればその活動の仕方は気に入らないが、その結果に免じて特命係の取り潰しをしないというような自分達の寛容さに感謝しろといったように言う、言わば見栄も合わさったような形で特命係はまだ紙一重の形で成り立っているのである。

しかしそこで自分達のやったことを手柄としろと主張し続けたなら、そんな内村刑事部長達のような者達からしたなら今まで見逃してやったというのに何を・・・と言った名目を与えることになるのだ。そしてそうなればもう特命係は存続は出来ないだろう。人事に口を出すことはおろか、捜査権も何も警察では与えていられないのが特命係なのだから。

そしてそんな特命係に杉下を除いて長いこと在籍していたのは神戸と亀山という二人なのだが、元々訳ありで特命係に配置された神戸はともかくとしても亀山は他の部署に行きたいだとか手柄を手柄として欲しいと言っていたが、それも時間が経つにつれて無くなっていった上で愚痴に近いものくらいだった。少なくとも警察を辞める一、二年前にはそんなことを言うことは無くなったのだが・・・






「亀山さんは実際にはそういったことからの不満を上には口にはしなかった。だが工藤新一に関しては確実に手柄に関して、不満を口にしていくだろうというのは話を聞くだけでも理解出来た。そしてそれでいずれは上の方に噛みついていくだろうという予想も簡単についた・・・杉下警部が止めても自分の、いや自分達の手柄だと主張する形でだ」
「そこで自分達のという辺り工藤新一に仲間意識があるのはあるんだろうけれど、そんなことは杉下さんは望まないだろうしそうなったら特命係は丸ごと取り潰しになる可能性が高いでしょうね」
「あぁ・・・ただこの場だから言うが、俺は工藤新一の事を聞いた時に杉下警部と特命係として相棒になれるのではないかと思っていた」
「えっ？そうなんですか？」
大河内はそんな神戸の話を広げつつ会話を進めていく中で自身の思惑と狙いについてを口にすると、神戸は意外そうに目を瞬かせる。そんな狙いがあったこともそうだが、大河内がそれを口にするというらしくないことに。
「・・・言っただろう、この場だから言うがと。更に言うが正直な所として俺は特命係と言うか、杉下右京の能力にやり方は確かにイレギュラーではあるが警察には残す方がいいと思っていた。そしてそんな杉下右京の新しい相棒として、そして能力として遜色ない人材になりうると見越して工藤新一を半年程試した訳だが・・・」
「大河内さんの目論見が外れた、というわけだ。それも最悪な形で」
「あぁ・・・能力自体は確かに見込んだ通りではあった。だが杉下警部と違い工藤新一はあまりにも自主的に動きすぎたし、手柄を主張してきた。そんな姿勢に杉下警部も口を挟んだがろくな効果もなく、あの服部という人物が自分が工藤新一を引き受けると言わなければまだ今頃は面倒さに頭を悩ませていただろうがな・・・！」
大河内もそんな態度に気付いているというように言うのだが、不機嫌さが徐々に滲み出てきて怒りを我慢するかのように懐から瓶詰めの薬・・・に見せ掛けたラムネの蓋を開け、いくつかを取り出し口に放り込みガリガリと噛み締めていく。









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