恵まれた場所より放逐された探偵

「・・・お前が今の話を聞いてどう判断するかは分からん。けど府警に移ることはもう決定しとるし、警視庁にお前の居場所はない。そやからどうするか考えるのも含めて大阪に来い。そっからどうするか決めろ・・・どういう結論を出すにせよお前には考える時間は必要やろうしな」
「・・・分かった。大阪に行ってどうするか考えるよ・・・」
そうして服部が最後とばかりに表情と気持ちを改めて大阪に来るよう言うと、新一もようやく諦めがついたとばかりに頷いた。服部の心に触れたこともあり、自分がどうするべきかを大阪で決める為に・・・


















・・・そのようにして新一と服部が話し合っていた時から少し時間が経ち、夜のバーにてとある二人の人物が周りの喧騒に紛れる中で話をしていた。



「・・・予想外の結末ですね、そう聞くと。まさか大阪府警の期待の人物がそんな問題児を引き取るだなんて・・・けれど大河内さんもそうだけれど、内村刑事部長達も助かったんじゃないですか?厄介者をわざわざ自分達の管轄外で引き受けてくれる奇特な事をする人がいるなんてって形でね」
「あぁ。実際刑事部長達は引き受けると言った服部警部に返却は受け付けないと言っても快く受け入れたことに、至って気分を良くしていた。それこそ厄介払いが出来たとな・・・まぁ欲を言うならそもそも杉下警部も含めて特命係自体を引き取ってくれたなら尚良かったと思っていたかもしれんが、それでも工藤新一を引き受けてくれた事はこちらとしては大助かりだ。あのまま特命係にもそうだが東京にいられたなら、俺としても迷惑を被るのは確実だったからな」
「珍しいですね、大河内さんがそんな風にハッキリ人を悪し様に言うなんて」
「神戸・・・お前や亀山さんが在籍していた時はまだ杉下警部と行動していたから良かった。何だかんだで特命係としてまとめて事に向き合うことが出来たからな。だが工藤新一は杉下警部と行動する事もなく、単独で事件現場に来て様々に行動を起こしたこともそうだが・・・何より問題だったのは、事件を解決したのは俺なんだから手柄を俺に寄越せとその度その度に言ってきたことだ」
「うわぁ・・・」
・・・テーブル席にて髪をオールバックにまとめて表情に乏しい男が、対面上に座る笑顔を作る優男風な男と共にカクテルグラスを片手に話し合っている。
そんな構図の中で大河内と呼ばれたオールバックの男が厳めしく話を進めていくのだが、神戸と呼ばれた優男はその内容に引いてしまっていた。新一がいかな行動を取ったのかもだが、その主張がいかに自分本意であるかを感じてしまい。






・・・さて、大河内と神戸の二人が今何を話しているのかと言えば新一の事なのであるが、大河内は新一について関わりはあるが神戸に関しては五ヶ月くらい前に特命係にいた身である。その上で以前から大河内とそれなりに交流のあった間柄ということに加え、今回新一の事で話があると呼び出されたことからこうして忙しい合間を縫って会うことになったのだ。

ただ本来なら交流はあるとは言え、大河内は人一人の処遇がどうこうで神戸を呼び出すような人物ではない。そうした理由は数ヶ月前に訳ありでとは言え特命係に在籍していたことに加えて、今回の新一の事が神戸の耳にも入ったと神戸自身が大河内に話をしたことから事の顛末についてを話すとなったのだ。大河内が神戸なら迂闊に話を広めないと判断したこともあるが、中身としては今後の警察に関わってくる部分もあって全くの無関係というわけではないということからだ。









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