苦い思いの乱れる未来

「それを言うなら新一もそうですよ。そもそも新一は探偵を自称しているだけであって、職業として探偵に就いてないばかりかバイトすらしたことがなく自分でお金を稼いでもいません。そんな新一が毛利さんのことについてお金を払うにしても、父さん達に頼るしかない事も考えていなかったでしょう・・・確かに父さん達は成功者でありお金を必要な時に使うことに躊躇いはないのでしょうが、自分が稼いだお金でもないのに自分が組織を追いたいというワガママの為、父さんが一千万を毛利さんに渡すことを決断させて許容した時点で新一の感覚も人とズレていると言わざるを得ないんですよ」
「あ~・・・そう言われれば確かにな~・・・」
「そう聞くと一千万を工藤君の両親が自主的に出したとしても、そんなお金なんか自分の為なら親が使うのは当然だって考える頭の緩いボンボンにしか思えないわね。工藤君はそのお金を自分の働きで返すとかそういった話をしていたかどうかは分からないけれど、そんな話をしてないなら心底から工藤君は自分の責任というものを理解してないボンボンとしか思えないわ・・・一千万なんてお金をそんな風に親に使わせるんだから」
だが頼人から新一もその点では同様の事をしていると金の事を口にすると二人、特に志保から明らかに軽蔑といった様子を隠しもしない同意の言葉が出てきた・・・自分の為に一千万という大金を親に支払わせて、確定はしていないにしてもそれを払うかどうか以前に新一自身で金を稼いだことなどないということに。
「・・・恐らくというよりまず間違いなく、そのお金の事についてを言った所でもうしょうがないことだと言うでしょう。ですがそんなことを私は言いたいのではなく、そういったような感性の違いを改めてお二人に認識していただきたいということです。特に新一に関しては父さん達にお金を使ってもらうことに関してを躊躇いはしないでしょうが・・・代わりにその性質を逆手に取って動かさせていただきます」
「逆手に?」
「分かりやすく言うなら毛利さん達にどうしても戻ってきてほしいと言うなら、新一自身の探偵の稼ぎだけで何十年働き詰めでようやく貯められるだろうお金を稼いで渡せというように言うことです。勿論嘘や取り繕うような事をしてくることも有り得ますから、どういう仕事をしてきてどれだけのお金を得てきたのかというリストを作ってもらった上でこちらに渡すようにと言う予定です・・・探偵稼業は儲からない訳ではないにしても、高い金額を目標にされればそれだけハードルが高くなりますし何より新一自身の性格から考えれば、そういった事情から自分の依頼の料金を相場より極端に引き上げることは探偵として望まれないと嫌がるでしょう・・・まぁその分生活費を父さんが援助して普段の生活に使うようにとお金を渡すかもしれませんが、ここはそんなことはせずに事務所を構えるまでならともかく構えて仕事を始めてからはそれをせずに新一だけの稼ぎでそれを為し遂げさせねば毛利さん達への侮辱になる・・・とでも言えばあちらはこちらに強く言えないと言うのと引け目もあいまり、父さんも動きづらくなり新一もズルは出来ないと思うでしょうからね」
「もしもの時はそうするということで貴方は考えているのだろうけれど・・・そこまで読みきって対策を取れるなんて、実は工藤家で一番能力が高いのは貴方じゃないの?」
「さぁ、実際にそんなこと測った訳でもありませんし別に興味のないことですよ。私はただこの問題を私なりに誠意を持って行動し、解決をしたいと思って行動して父さん達に黙っていただいた・・・それだけです」
「・・・そう。と言うより貴方に助けてもらったのに、そんな事を聞くのは失礼だったわね。ごめんなさい」
そんな新一達だからこそ使える対策がある・・・そう口にしていくその中身に志保は感心と共に能力の高さに疑問を向けるが、別に興味はないといった返しに謝りを入れる。世話になっているのに不躾なことを言ってしまったと。









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