苦い思いの乱れる未来

・・・赤井を協力者として選ばなかったのは志保の気持ちも加えた形になるが、言葉にしたようこちらにとって良からぬ行動を独断で取る可能性が高いと頼人は見たからだ。だからこそ安室をこちら側に引き込み、その防波堤として役に立ってもらおうと考えた。

しかし安室の能力も侮りがたい上に、下手に勝手に動かれることは避けたいと思った頼人は安室にこちら側の事情についてを話した上で協力者になってほしいと願い出た・・・赤井に話をしたならこういった事が起こりかねないといった危惧についての可能性も口にした上でだ。

そういった話を聞いて安室は難しいといった表情で考えてはいったものの、二人の意志が固かったことに近い位置に今後我慢して居続ければ新一達との今後のトラブルの可能性は決して否定出来ない・・・そういった事を避けるにはこちらに協力した方がいいというように思ったと安室は答え、協力者となることになったのだ。とは言え安室ならこちらに応じてくれるというか、こちらに味方をしたいというように赤井の事から誘導したのもあるがだ。






「・・・ともあれ、一先ずはこれで終わりです。明日になれば安室さんの話により新一達は迂闊に行動出来なくなるでしょうし、父さん達も釘を刺しましたからこちらに顔を出しに行きたいといきなり言い出すこともですが、日本からそうそう長いことは出ることはないでしょうからね」
「それは分かるが・・・今となっちゃ話の流れがあったとは言え、やけに優作さん達の聞き分けが良かったのが気持ち悪く感じるな・・・」
「妃さんが力なく言いましたが、誰もが誰も責任があるというように言ったのが効いてるからですよ。特に私の記憶にある妃さんなら隙の一部も見せない凛とした様子だったのが、先程のあの姿からどれだけ真剣に今回の件を考えて結論を出したのかが伝わったんだと思います。この事に関してを気楽に、それでいて自分達に都合がよく楽観的な考えを持つのは望まれないと感じたんでしょう。まぁ最も大きな理由は毛利さんがハッキリとお金では解決させないと言い切ったことでしょう・・・意志の強さを見せたこともさることながら、毛利さんならある程度のお金を渡せばすぐにコロリといくだろうという考えはあの様子を見る限りでは確実にあったでしょうからね」
「・・・確かに何にもない時だったなら喜んでただろうが、もう今となっちゃいくら金を積まれたって前のようになんてのは無理だからな・・・と言うかそもそも『コナン』を偽の親として引き取りに来た時、新一が素直に離れるって言ってたらあの二人俺にその時まであいつを預かってた分の金すら渡さずどっかに消えてた可能性が高かったかと思うと、マジで新一もだがあの二人は色々人の気持ちやら立場とか考えるのが雑だったんだなホント・・・」
そんな風な中でまとめるように話を進める頼人だが小五郎が優作と有希子についての様子を疑問視した声が出てきた為、理由についての推測を返していくと前の事を思い返しつつ呆れたように頭を抱えつつ小五郎は漏らす。今となって思い返せばその時の対応の雑さを感じてしまうと。






・・・小五郎が言っているのは一度『江戸川コナン』として身分を偽り家に転がり込んできた新一を偽の親として変装した有希子が迎えに来て、新一に組織を追う危険性を伝える芝居を仕掛けに来たことだ。

その時に新一が諦める意思を見せなかったから改めて息子を預かってくれと有希子が新一を連れてきて一千万という大金が入金された通帳を渡して来たのだが、その時の小五郎は浮かれて深くは考えることはなかったがそうでもなかったなら、新一を引き受けてくれていた分の養育費に謝礼金を渡すだとかの最低限の礼儀すら果たさず終わっていたのではないかと考えたのだ。自分達と小五郎の関係なのだからこれくらいはいいだろうし、小さいことは気にしないだろうと勝手に決めつける形で自分に何も言わないのもそうだが何もしないだろうと・・・










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