苦い思いの乱れる未来

「お疲れ様です、お二人とも。これで我々のやることは終わりです。後は安室さんが明日にでも新一達の元に行って話をするでしょうから、それが済めばもうお二人に新一達や蘭が何か言ってくることは余程でない限りはないでしょう」
「あぁ・・・本当にお前のおかげだ。ありがとよ、頼人」
「えぇ、本当にありがとう・・・」
・・・それで頼人達が泊まっているホテルの一室にて。
お決まりのポーズで椅子に座りながら甘味に手を出しつつ話す頼人に、対面上で座る二人は深々と頭を下げる。
「気にしないでください。私としてもこの辺りが新一や父さん達と一線を引くよい機会だと思ってましたからね」
「・・・多分優作さんは最後辺りに質問した事に関して今お前が言ったようなことを考えて質問したんじゃねーのか?お前が自分を除いた工藤家を嫌ってたから、こんなことを起こしたんじゃないかとよ・・・」
頼人は別にいいというように平然と答えるのだが、その中身に頭を上げた小五郎は優作達に対する気持ちを問いかける。嫌ってるのかどうかと。
「別に父さん達の事は嫌ってはいませんよ。ただ考え方と言うか事件に対しての姿勢から父さん達と自分の考えは合わないとは元々から思っていましたし、私にようやく言われて毛利さんの事に気付くほどに自分のやってきたことへの自覚の無さをこの目と耳で感じ取ったあの姿から、前のように距離を近くして接するようなことはしたくないと思ったんです・・・もしもの時に私をわざわざ巻き込みに来ることは少ないかとは思いますが、必要とあれば父さん達は私の手が必要だからと今回の件から考えてくる可能性は有り得ますからね」
「だからそれを避けるためにも両親や工藤君と距離を取りたいということね・・・」
「そういや昔からお前は新一や優作さん達とあまり一緒に行動してなかったからな・・・元々からしてあんまり事件とかに出くわしたくねぇってんなら、そりゃ新一達とそういった部分で合わねぇって言うのは当然か・・・」
対して頼人は自身の考えとは合わないと説明し、志保もだが昔からの付き合いがある小五郎は疑うことなく納得する。事件と出会うことについて拒否感があるのだと。
「まぁそういった部分に関しては置いておいて、こう聞くのは心地好くないかとは思いながらも確認の為にお聞きしますが・・・実際に蘭と話をしてみてどう思いましたか?」
「・・・正直、最初は少しは大袈裟なんじゃねーかって思ってた・・・だが実際に話してみて分かった・・・蘭がお前の言うよう、俺達にとって一番厄介な存在になるってことはな・・・」
「おじさん・・・」
そんな話題を変えると頼人が蘭についてどうだったかと問い掛けるのだが、苦々しげな表情になりながらも認めるしかなかったという小五郎に志保は案じるように肩に手を置いた。






・・・頼人が二人から話を聞いた後に打開策についてを話していく中で蘭が一番厄介な存在になると言った時、どういうことかと小五郎は怒りと困惑が入り雑じったような様子で問い返した。やはりこの辺りは色々あったとは言え、愛娘が厄介な存在だと言われることには気持ちのよくない事だったのだろう。

しかし頼人はそんな小五郎の様子を確認しながらもこういったように告げた・・・蘭の性格に話から考えて新一もそうだが自分が悪者になるであったり、自分の思い通りにならないことは許されない。そして新一がやったことは称賛されるべきであって、自分も事実を沈黙されていたのを棚にあげて利用されてきたことに何も気付かなかったお父さんが言っていいことではない・・・というように考えるだろうと。









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