「・・・新一は悪くないで、分からない俺が悪い、か・・・なら構わねぇよ。俺はもうそれでいい。いや、むしろそれならお前もいっそ今回で俺と親子関係じゃなくなることに賛成出来るだろ。もう新一達と顔を合わせたくない俺と、そんな俺を許せないお前なら俺と一緒になんかいたくねぇだろうからな」
「え・・・っ！？」
だが小五郎から返ってきたのは激しい怒りからの怒声などではなくむしろ穏やかでいてそんな発言を逆手に取った理屈的な返しで、蘭はその返しに一瞬戸惑った後に意味を理解したように息を呑んだ。
「あぁ、心配すんな。俺はもう余程の何かがなけりゃ日本に帰るつもりもねぇし、誰と結婚するなんて言い出したって反対なんかしねぇ。何せもう俺は親じゃなくなるんだからな・・・ただその代わり式に出てほしいって言われても出ねぇし、新一が相手なら尚更顔を出すつもりはねぇからそこは安心しとけ」
「お、お父さん・・・本気、なの・・・！？」
「本気も本気だ・・・いくら罵ってくれてもいいし、見損なってくれてもいい。ただそれで俺が変わるなり折れる方が正しいんだから、そうしろみたいな声を向けられ続けられるなんてのは我慢ならねぇ・・・だからもう蘭は俺を許さなくていいし、俺の事を気にかけなくていい。お前からして間違ってる奴が親なんて許せる筈がねぇだろうからな」
「っ！・・・そ、そんな・・・お、お父・・・さん・・・うぅっ・・・うわぁっ・・・！」
「蘭・・・！？」
そんな姿を見ながら小五郎はむしろ落ち着いた様子で自分に関わることはないと言い切ったことに、辛うじて会話をしていた蘭だったが我慢が出来なくなったとばかりに泣き始め、新一達は慌てて蘭を気遣うように立ち上がる。
「・・・どうやら蘭さんは少し気を落ち着ける必要があるようですから、僕と妃弁護士の二人は蘭さんと共にここを出ましょう。この流れから蘭さんを刺激せずに共に場を離れることが出来るのは人選的に僕と妃弁護士くらいでしょうからね」
「そうね・・・蘭、ここを出るわよ。貴方にとっては辛いかもしれないけれど、もうこの人の意志は固いし私もそれを受け入れている・・・その事をすぐに受け入れるのは辛いでしょうけど、ゆっくりでも受け入れる為にもここを離れるわよ」
「お母、さん・・・」
「「「「・・・」」」」
そこに途中から静観していた安室が三人で出ようと切り出し、英理が慰めるように話しかけるのだが涙を浮かべながら力無い声を漏らすしかない姿に他の面々はただ黙るしかなかった。蘭の状態から下手に言葉をかけるのは躊躇われるというよう。






・・・それで安室の言ったように三人は工藤家を後にしていった。
「・・・さて、蘭もいなくなったことですし蘭がいない内に話すべき事を話しましょうか」
「え・・・どういうことだ、頼人・・・？」
そうして三人の気配が離れたのを確認してから頼人がさも本題と言わんばかりの言葉を口にしたことに、先程まで辛気臭かった新一側の三人は戸惑いを浮かべる。
「実のところですが、私は二年前から何があったのかに関してを毛利さんに宮野さんの二人の視点から話してもらって聞いてます。当然その中には『江戸川コナン』や『沖矢昴』のことも含まれていますよ。そしてそれは妃さんや安室さんも知った上でこの場に来ていただき、そして頃合いを見計らった上で蘭を連れていくようにと打ち合わせをしていました」
「「「っ！？」」」
・・・だがそこであっさりと頼人が口にしていったまさかの言葉達に、三人は一斉に驚愕するしかなかった。事実を知っていたということもそうだが、何より言い方からして今までの流れが全て頼人の計算通りというようにしか聞こえない言葉に。









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