苦い思いの乱れる未来

「・・・予想はしていましたが、そういった反応になると思ったから私はこう言ったんです。毛利さんに対しての距離感や認識の仕方の甘さもありますが、何より新一達は毛利さんは自分達の言うことに対して何だかんだと軽く許してくれるだろうと決め付けていて、蘭に至っては自分の言うことに何故怒っているのか分からないし正しいことを言っているのに・・・と思ったのでしょう。ですが例えとして苛める側はこの程度なんか軽いだろうと思うのに対し、苛められた側はその行動に内外共に酷く傷付いたなんて意識の差から復讐を考えて事件を起こした・・・なんてことはそこまで珍しくないのは新一や父さんの方がよく知っている筈ですよ」
「「っ!」」
そんな四人に対して呆れを滲ませつつ分かりやすいようにと例えを混ぜて話をした頼人に、名指しされた二人はたまらず大きく息を呑んでしまった・・・例えをそのまま自分達の状況に当てはめてしまうなら、自分達は苛めた側になるということに気付いて。
「・・・認識違いは時として人と人との隔たりを大きく作り、それこそ殺人まで行くことも多々あることは工藤家の一員として生活していましたから私もよく知っています。ですが新一達と毛利さんはなまじ距離が近いことに色々と知っていることから、これくらいは我慢するだろうであったり関係があるから大丈夫だろうという気持ちでやってきたことが、この結果に繋がった訳になります・・・そしてこれからもそういったことがないとは限りませんし、そうならないようにと話し合った結果としてそうするように頷いてもらった方がいいだろうということになりました・・・毛利さん自身そうしてもらった方がありがたいという気持ちもあったこともあってです」
「お父さん!?」
頼人はだからこそ話し合いをして出した結論なのだという中、小五郎の意思だと口にした時に蘭が信じがたいと表情と声を揺らした。だが小五郎は覚悟は決まっているといったように表情を揺らすことなく口を開く。
「・・・頼人達と話をする中でまた蘭や新一、それに優作さん達と普通に生活出来るかって話になった時に考えたんだよ。前のようにお前らと接しあえるかだとかって事を・・・ただその事について色々と考えていったが、どう考えたって俺はもうそれが出来ねぇってなったんだ。俺と志保のこともそうだが、お前らが俺に対してまた似たようなことに態度や発言をしてくるかもしれねぇって思うとな・・・」
「そ、そんな・・・お願いお父さん、考え直して・・・」
「・・・軽蔑するなら軽蔑してくれても構わねぇし、いくらでも罵倒したっていい・・・それでも俺はこれ以降にお前や新一達から上から目線で仕方無いみたいな事を言われると思ったら、耐えられねぇってしか思わなかったんだよ。それにさっきも言ったよう英理も納得済みで離婚することになる・・・だからこれからもお前は英理の元で暮らしてもらうし、俺は探偵を辞めて事務所も閉めてあのビルの所有権は慰謝料がわりに英理に渡して志保と共にアメリカの頼人の所に行くからお前と暮らす場所ももう無い。だから諦めろ」
「えっ!?アメリカ!?」
「どういうこと頼人!?どうしてそんな話になったの!?」
小五郎はもう迷うことも揺らぐことはないと対照的に揺れまくる蘭に話を進めていく・・・のだが、その中で出てきた小五郎の行き先についてに蘭もそうだが有希子もどういうことかと驚きのまま頼人に問い掛けた。どうして小五郎達がそうすることになったのかに、受け入れることにしたのかと。









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