苦い思いの乱れる未来

「・・・安室さんと話をした私は最初こそは怒りを覚えたわ。けれど話を聞いていけばいくほどこの人がいかに孤独であって宮野さんに救われていったかを考えた上で、後でやましさも何もなく自分が弱かったからこうなったと頭を下げてきたこの人の姿を見て、次第に考えるようになったの・・・仕事が忙しいということに加えて意地から自分から会いに行くことを避けてしまっていたこともそうだけれど、何より宮野さんの厚意に甘えてこの人を任せてしまった私が責める権利なんかあるのかと・・・」
「お、お母さん・・・そ、そんなこと・・・」
「蘭。貴女、私は悪くなくてこの人のせいだというようなことを言いたいのかしら?・・・そういった事を言って貴女がこの人の怒りを買って、新一君共々二度も追い出されたことを忘れたの?」
「っ!・・・それは・・・」
英理はそんな表情のままに自身の後悔を口にしていくのだが、蘭が否定を返そうとしたことに前のことを口にすると途端に新一共々気まずそうに視線をさ迷わせ出す。
「・・・そもそもを言うならこんなことになったのは私と二人だけの問題ではなく、頼人に安室さんを除いたこの場の面々が関わっていた。落ち着いた今なら言えることだけれど、誰もが誰も間違っていた選択をしたことからこうなってしまったと思えるわ・・・そして二人はそうして犯した過ちを悔いて改める為に正直に話をしてきた上で、その人は宮野さんを抱いてしまった事から私という妻への裏切りを犯してしまったのは事実でこれからもそうしない保証なんて出来ない・・・そう言って自分に責任があると言って離婚を口にしたこの人に対して、私は頷いたのよ。離婚することにすると」
「頷いたって、そんな・・・!」
「・・・貴女は前から私達の復縁に関してを願っていたわね、蘭。けれどもうそれは出来ないわ・・・夫婦関係の破綻はこの人のせいでもあり、私のせいでもある。だから私達は別れて別々の人生を歩むべきだと、頼人君達も交えた話で決めたのよ。そして頼人君を除いた工藤家に貴女も含めて、もう二人のことに関してを関わらせるべきではないと」
「えっ・・・!?」
「どういうこと、英理!?何でいきなりそんなことを・・・!?」
英理はそのまま自分も含めてどう考えて決定を下したのかを話していくのだが、途端に出てきた関わらせないようにとの話に蘭もだが有希子もたまらずに大きく驚きの声を上げた。
「そこに関しては私から話をしますが、二人が妃さんと話をして一先ずは話をまとまった後に蘭に対してどう説明するかという事になったんです。ただ私からすれば妃さんへの説明もそうですが、どちらかと言えば父さん達への説明の方が厄介であると感じていました。それは三人の決定なのにさも決定権は自分達にあるというように口を出してくるのもそうですが、これまでの話に出てきたように毛利さんの立場や能力は自分達より下だし言うことを聞かせるのが正しい・・・なんて風に接されるのを避けるためですよ」
「なっ・・・わ、私はそんなことは・・・!」
「妃さんも言ったでしょう。二度貴女達は毛利さんを激怒させたと。いえ、それを言うなら父さん達も同じように毛利さんを激怒させたましたが・・・そんな貴女達は毛利さんがどうして自分の発言でそんな風に怒ったのかについてを考えなかったのですか?」
「そ、それは・・・」
「「「っ・・・」」」
そこで頼人がその訳についてを話していくのだが、そもそもの事と向けられた問い掛けに蘭だけでなく新一達も揃って苦い顔を浮かばせる。小五郎が怒った理由について本気で考えていなかったというのが見える形で。









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