苦い思いの乱れる未来

・・・頼人は前に日本に戻ってからアメリカに帰る際に一度、新一が元の体に戻ってからは三ヶ月に一度の割合で返信不要といったお題のメールを小五郎に定期的に送っていた。中身は自分が元気であると伝えるのを建前とし、工藤家に何かあるかされたなら新一達には内緒で自分に伝えてほしいし自分がというような中身のだ。

頼人からすれば何かあった時の保険として活用されればいいという気持ちで送っていたメールであり、確実にそうしてくれるという保証もない上に大事にならないならそうならない方がそもそもいいと思ってやったことだが・・・そんなメールを思い出して小五郎は頼人に話をしたいと連絡をしてきたのである。工藤家の中で唯一毛色が違い、自身をおもんばかってくれている存在を頼る形で。

その為に頼人は予感していたこととはいえ、新一達に対する失望を大いに感じながら小五郎達と話を進めていった上で二人に自分の元に来るようにと進めたのである。そう決まった時には小五郎達もそうだが自分も自分以外の工藤家に、蘭との関わりをちゃんとした形にして終わらせて済ませようと考える形で・・・






「・・・ここからは実際に二人を受け入れていた私が説明をしますが、新一達に言ったように二人がどうしたのかを聞かないままに二人と共同で生活をしていました。そしてそうしてしばらく暮らす中で私は全ては話せないが事情くらいは説明したいというように言われ、話を聞きました。そして二人の事を聞いた私はどうするべきかを考えた上でまず、味方とは言わずとも中立の立場に立ってくれる誰かいないのかと聞くと安室さんの名前が挙がりました。安室さんなら短慮からの行動に判断はしないだろうことに、役割を説明すれば中立の立場として動いてくれるだろうと」
「・・・それで受けたんですか、安室さんは・・・」
そんな空気のままで自身の言葉で経緯を話していく頼人だが、その中身に新一は他の三人も含めて安室にどうしてと言ったような目を向ける。
「・・・いきなりの話ではあったが、話を聞いた時に確かにこれは誰か間に入らないといけないといけないと思ったんだ。特に二人が頼人君に全ては話せないといった部分に関して、誰かが何らかの形で衝動的に言ってしまうような事故を避けるためにも・・・とね」
「「「「っ・・・!」」」」
安室はその視線に自分の考えを口にしていくのだが、意味深な言葉と同時に鋭い視線を向けると新一達は一斉にハッとしたような様子を浮かべた。自分達にその心当たりがある、と言うのが見て分かるように。
「・・・話を続けますが、安室さんに協力していただけるということから安室さんに妃さんへの橋渡しと説明をお願いしたんです・・・毛利さんがそういった理由から謝罪をすると共に、自分のせいだから離婚をしたいと言うようにと。そしてその結果として妃さんはその申し出を受け入れたばかりか、こうしてこの場に説明の為に同席することも決めてくれたんです」
「えっ!?ど、どういうことお母さん!?お父さんがそんなことになったから離婚するって決めたの!?」
「・・・それが理由にないとは言わないわ。けれどそうなった経緯を聞くにつれて、私がどうにかしていればどうにかなったんじゃないかという後悔もあって離婚した方がいいって考えたのよ」
「えっ・・・?」
頼人はその様子に構わず話を進める中で英理の決定についてを聞いて蘭が取り乱した様子で問い質してくるが、英理が沈痛な面持ちで後悔と口にしたことに戸惑いを浮かべる。









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