苦い思いの乱れる未来

「・・・頼人から何か困ったこと、特に工藤家関連で困らされたなら自分の元に連絡してくれって言われたのを思い出したからです・・・新一が家に帰らなくなったのを引き換えに、『江戸川コナン』という小学生低学年程度の子どもの言葉で『沖矢昴』という実際に会ったこともない人物を家に置くことを許可したこと・・・アメリカに行ってから時々くらいしか会ってなかったとは言え、こんな父さん達にいないとは言え新一らしくない行動を取るなんて何かあったんじゃないかとしか考えられないから、何かあったなら連絡をしてほしいという言葉を」
「なっ・・・!?」
小五郎はそうするに至った経緯と頼人からの言葉についてを口にすると、絶句と言ったように頼人に視線を向けた。まさかそんな風にその時に二人の事を頼人が考えていたのかという気持ちを隠せないままに。
「・・・意外でしたか、私がそんなことを言ったのが?ですが私から言わせれば毛利さんが今言ったよう、その二人を父さん達が無条件で信じたことの方が私から言わせれば信じられませんでしたよ。特に利発であるとは言え、精々その時からして半年前に交流を始めたという親戚の小学生の子どもの言葉で家を貸すなんてどうかしたのかと気を疑ったくらいでした。父さん達は本当に正気で下した判断なのかと」
「そ、そんなことを頼人は考えていたのか・・・!?」
「えぇ。ですが家の貸し出しの事に関して決定権を私が持っている訳ではありませんでしたし、そう決めたのは父さん達ですからトラブルが起きてもそちらの責任だろうと私は何も言う必要はないかと思ったのですが、それで何かトラブルが起これば困る人の中には『沖矢昴』を紹介した『江戸川コナン』を預かっている毛利さんがいる・・・そう思った私はもし何か工藤家関連で何かあれば私が毛利さんに協力するといった旨の話をしていたんです。もしもの保険として・・・ですが話を聞いていって詳しい部分は話せないということから色々と不明瞭ながらも、新一がしばらく姿を消していたことから起因して父さん達に蘭も混じった結果として、そんなことになったと聞かされることになるとは思っていませんでしたけどね」
「「「「っ・・・!」」」」
そんな優作に淡々と自分の立場から見た考えと保険についてを頼人は口にして行くのだが、その結果が予想外といったと口にしたことに優作だけでなく新一達もまた予想外といった驚きを浮かべた。ただ頼人は大して表情を変えてはいなかったが。






・・・二人が体を重ねた間の事についてはさしもの頼人でも聞きはしなかったが、そうなるに至った経緯については聞いている。二人の時間が増えていき小五郎がマシな状態になったのは確かではあるが、同時に探偵としてどうにか動こうとして失敗していって気落ちもしていった。新一の造り上げた看板の重さと評判は、小五郎が何回か失敗しただけで簡単に洗い流されるような物ではなかった為に。

そしてそうして気落ちしている小五郎に志保が近付き励まし、励まされている内に色々とした話をしていき志保は哀れみと共に自分が何とか小五郎を癒したいという気持ちになり、小五郎はその優しさに触れて英理への操立てへの気持ちを上回る形で志保に惹かれ・・・志保が小五郎からの要求を受け入れたことから、体を重ねたのである。

しかしそうして二人は結び付いた物の、時間が経つにつれてどうするべきかと頭を悩ませることになった・・・英理や新一達に対して説明をするかだとか誤魔化しをするかだとかもそうだが、何よりこの関係をどうするかだ。

だが色々と考えるには時間があまりにも足りない上、考えがないままに新一達に何らかから事情を暴かれる事態になったなら、新一達も含めてろくなことにならない可能性が高い・・・そう二人は考えどうにか出来ないかと頭を働かせた時、小五郎の頭に浮かんだのが頼人の事だったのである。やけに工藤家のことで念を押してきた頼人の事が。









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