・・・小五郎は二人がやって来たことに関して、初めからいい予感はしていなかった。別に二人の事が嫌いという訳ではないが、有希子ならともかくとしても優作が小五郎の元を訪れる事など数える程度にしかなかったからだ。

そして小五郎の思った通り名目自体は見舞いということだったが、中身が新一の言ったことに関する謝罪をしに来たと言うのに・・・二人を許してほしいに大目に見てやってほしいといった言葉が出てきたことに、小五郎はやはりという考えを抱くと共に盛大に気分が悪くなった。二人の性格や考え方を踏まえたなら、まず新一達の方に寄った事になるだろうからと。

その為病院という場所であることから激しい言葉や物に当たるといったことはしないように気を付けつつ小五郎は新一達を許せない旨を話していったのだが、二人が気持ちは分かるけれど新一も無事に元に戻れたのだし治療費はこちらが払うようにするから何とか気を納めてくれないか・・・と言われたことで小五郎の我慢は限界を迎えた・・・『結局あんたらが見てるのは新一達だけじゃねーか！そんなあんたらの手やお情けなんざもらうか！とっとと帰れ！あんたらの顔は見たくねぇ！』・・・と怒鳴る形でだ。

その小五郎に有希子はどうにかならないかというように食い下がろうとしていたが、優作が有希子をなだめて連れ帰ったことで一先ずその会合は終わったが小五郎の気持ちは収まらず、新一に蘭に加えて優作達の面会も拒絶する事にしたのだ。その時の小五郎からすれば最早不本意なことであるが立場的に有名人となってしまったことから特別病棟の個室の病室をあてがわれていたことで、許可されていない人物の面会拒否を出来る状態にあった為に。

ただそうして四人を面会拒否にした小五郎・・・だが蘭が来れなくなった今となっては唯一行き来が可能になる身内は英理しかいない状況になるが、英理の弁護士という仕事とその評判から落ち着いて見舞いなど出来ないということに加えて蘭が小五郎の元に行くということに複雑な反応を見せている・・・ということから英理は見舞いに来ない方がいいという話になり、代役を寄越すという話になった。それが志保であり、二人の関係が出来た第一歩のきっかけである・・・






「・・・それから二人は度々見舞いに差し入れの時に会い、仲良くなっていって毛利さんが退院しても問題ない状態になり退院したが・・・その後の経過については妃弁護士からおおよそのことは知っているだろう。折角復帰した探偵としての活動は軌道に乗らず、そしてそこでの失言によりまた新一君に蘭さんと距離が大きく離れることになったと僕は聞いていますが・・・そうした風に距離が離れたことにより、二人の距離が反比例するように縮まったとも僕はこの会合の前の話にて聞きました」
「「っ・・・！」」
そうして安室が退院してからの話に移行するのだが、その中身に二人はまた苦く表情を歪めた。自分達の失敗もそうだが、それが二人の関係を深めたというきっかけになったということに。






・・・入院をして治療に専念する小五郎だったが、麻酔を体から抜くには時間をかける必要があり大分の時間を費やしていった。しかしそれでも元の暮らしに戻る為には必要なことだということに加え、時たま訪れる志保の事があるからこそ小五郎は頑張れた・・・新一達と違い罪悪感を持って自分の事を想い、接してきてくれる志保の姿があったからこそ強がりを見せられると思う形でだ。そしてそんな気持ちを向けられる志保も罪悪感からの罪滅ぼしというだけではなく、親として蘭という娘を持っている小五郎の父親としての父性に惹かれる形で罪悪感だけではない気持ちから志保は小五郎との交流をしていった。

しかしこの時点での二人の中には肉体関係を持つような感情は互いに持ち合わせていなかったのだが、それが劇的でいて決定的に変わったのが退院後に探偵として復帰した小五郎が蘭に言われた言葉なのである。









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