苦い思いの乱れる未来

・・・最初その声が聞こえてきた時、小五郎はたまらず怒りを滲ませた声で「は?」と漏らして新一に視線を向けていた。その声が心底から自分のせいなのかと疑問に思っている声色だったことからだ。その上でまた心底からの疑問だというよう首を傾げていたのだから、その様子を見た瞬間により小五郎は表情に険を滲ませた。

そんな小五郎の様子を見た安室がまずいと察してすぐになだめに入ろうと言葉をかけていくのだが、そうして二人が会話をしていく中で蘭が口にした「でもそんな体になったのはお父さんが新一のやったことに気付けなかったからじゃない」との言葉に・・・瞬時に小五郎は激怒した。俺も気付かなかったのは確かだが、お前もこいつに騙されてきたのも確かなのにこいつを庇うようなことを言うのか・・・と。

ただここで蘭がその怒りに対して素直に引くようなしおらしげな性格をしていなかったのがより災いとなって、小五郎と激しい言い争いになった。互いが互いに新一に対する気持ちで引かない形でだ。

ただここで元々の関係なら小五郎は蘭に対して引くくらいはしていただろうが、新一がやってきたことに関して大人として引き下がるにはあまりにも自身に色々とやられすぎてきた事に当人には自覚がない・・・そこに加えて自分だけが責任があるといったように言う蘭に、引いて怒りを我慢することは小五郎には出来なかった。

そんな一歩も引かない小五郎に蘭の怒りもヒートアップしていって拳を強く握った瞬間、安室が瞬時に手を押さえるように割り入ったことで残り二人も慌てて制止にかかった・・・もし放っておけば確実に暴力沙汰になっていた一触即発の瞬間だったと、二人も感じたように焦りを浮かべる形でだ。

しかしそれで二人・・・特に小五郎の気持ちは収まることなく、入院するまでに用意じゃなく今すぐに荷物まとめてとっとと出ていけと激怒したままに言い放ち小五郎は誰も付いてこさせないような形にして事務所を乱暴に後にした。誰の制止も聞かず、付いてくるなと手を出した安室に強く怒りのままに言い切る形でだ。

・・・そうしてしばらくの時間を携帯の電源を落として一人で誰も来ないような場所を探し回る形で動き回った後、時間が経ってまばらにしか人が来なくなった公園で色々と考えをまとめて冷静になった小五郎が深夜に帰ると、住居の蘭の荷物は持っていかれた状態になっているのを確認した後、テーブルの上にいつになっても構わないから電話をしてほしいという英理の書き置きを見つけた。

それですぐに英理に電話をした小五郎は少しの間会話をしたのだが、新一を許せないと改めて考えたし蘭が考えを変えてないなら今の俺は許せない・・・そう今までの小五郎にない異様な迫力を伴わせた声に英理は気持ちが固いのは分かったし、蘭は考えは変わってないからもうこちらでこのまま引き受けると返したことで話はまとまった。

そんな英理からの気遣いを受けた小五郎は入院期間中に新一と蘭をこちらに来させないようにしてくれと言った後に、探偵事務所と住居を入院費用にあてるためにテナントとして貸し出す準備を済ませてから後を英理に託して小五郎は病院に入院した。

そんな風にして入院生活を始めた小五郎だが、少ししてそんな小五郎の元に見舞いと言う名目で優作と有希子の二人がやって来た。









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