苦い思いの乱れる未来

・・・そもそも新一に麻酔を打たれていたことを知ったのは、新一が小さくなった体から元に戻った後に探偵事務所を訪れた新一自身から話を聞かされたからだ。自分が体を小さくされてそうした奴らを捕まえたかったから麻酔を使って小五郎もそうだが、小五郎がいないなら他の適当な人物を見繕って推理をしてきた上で組織を追い詰め、自分を小さくした奴らを壊滅させてきて元に戻れる薬を作ることが出来てそれを飲んだから戻ってきたと。

ただそれで本当なら事情を知らないおっちゃんには何も言わないまま終わらせようとしたが、その場にいた志保からの勧めと説得により推理役を長い間してきた小五郎にも今後『江戸川コナン』がいなくなって推理を求められてもキツくなるだろうから、口外はしないようにしてもらうという条件の元で話をした方がいい・・・といったように言われて新一は話に来たと言った。

・・・それらの説明を聞いた時、小五郎はあらゆる考えや気持ちがごちゃ混ぜになっていた。何故自分にそれを言わなかっただとか、そんなことがあったのかだとか、正直新一に対して心地よくない気持ちを抱いただとか、口外したらどうなるかだとか・・・あらゆることをいっぺんに受け止めて考えざるを得なくなり、正直な所は小五郎としては考えをまとめたいといった気持ちしかその時にはなかった。

だがそれでもその場に説明の為に来ていた安室から公安にFBIにCIAなどが絡む大事であって秘密を明かせばかなりの問題ごとになることもそうだが、新一を小さくした人物達と自分の知らぬ間に共に対峙してきた蘭の嬉しそうな姿を見て小五郎はその事についてはそいつらや『江戸川コナン』関連に関しては口をつぐむようにする・・・と答えるのが精一杯であった。色々時間が欲しかったのはあるが、そこだけは確実に先に答えを返さなければならないと分かっていたからだ。

そうしてまだ頭の中がごちゃごちゃのままではあっても体調が悪いことから一先ず考えを中断して病院に行って診断を受けた後、二人に自分の体について話さないといけないと連絡をした時はいい機会だと小五郎は考えていた。確かに仕事が出来ないことに長く入院をすることには抵抗感はあったが、それでも少し誰とも顔を合わせずゆっくりと考え事をするにはちょうどいいタイミングであり、気持ちを落ち着けられるというように思ったために。

そうして病院から自分の探偵事務所に帰ってきた小五郎だが、そこには蘭に英理だけでなく新一と安室の姿もあった。その事にどうしてここにいるのかと聞く小五郎に二人はたまたまポアロで蘭と共にいて、特に安室は小五郎にポアロを含めて離れる最後の挨拶の為に来ていたことからこちらに来たという返答が返ってきた為、ならついでに話せばいいかと病院での診断結果についてを四人に話した・・・英理も今までの話には出てはいなかったが、色々と込み入った理由から新一達の事に関してを聞いてもらった上で黙ることを選択したことを小五郎も知っていたために。

それで小五郎の体についてを聞いて驚いた四人だが、そんな反応はさておきと英理に蘭をそちらで受け入れてほしいと頼むのと入院の為の保証人になってほしいと話すためにこちらに来てもらったと小五郎が言えば、英理はそういうことならとすぐに頷いた。流石に事情が事情だということもそうだし、以前よりも二人の関係が良くなっている事からすんなりと。

そうして一先ず話がまとまった・・・と思った時に小五郎の耳に新一の声が耳に入ってきた・・・「やっぱりこれ、俺のせいなのか?」と。









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