苦い思いの乱れる未来

「信じられないという気持ちは分かる。僕も話を聞いた時はどういうことなのかと思っていたからね・・・しかし二人がこんなタチの悪いことを冗談として言えるような人達ではないと思ったこともそうだが、頼人君がアメリカの彼の家に二人が来た時の経緯を聞いてみれば僕も信じざるを得ないと感じたんだ・・・二人にそんなことがあったことをね」
「な、なんでそんなことに・・・」
「・・・二人はその時の自分達が弱かったというように言っていたが、この事には僕もそうだが君達が誰よりも関わっているだろう・・・毛利さんの体の件でだ」
「「「「っ!」」」」
安室はその様子を確認しつつ話を進める中で新一がまだ愕然とするのを見て、意味深といった言葉遣いで小五郎の体と言うと新一側の面々は一斉に表情をひきつらせた。






・・・小五郎の体の件とは何かと言うと、新一が戻ってきたほんの少し後に病院に小五郎が行くことになった。これは新一が戻ってくる少し前くらいから体調が悪かったということもそうだが、小五郎自身ある予感を感じつつそれを確かめるためにそうしようと決めたからだ。

そうして病院に行って診察して下された結果は、即時の長期入院が必要という物でありその症状は何かと言うと・・・不自然な程に体に溜まった麻酔が体を蝕んでいる、というものだった。

この結果に関して見てくれた医者には何故か分からないと誤魔化しはしたが、内心で小五郎は納得していた・・・自分の体に起きた異変の症状を思い返せば、日頃の生活態度が悪かったからこうなった訳ではないということ・・・理由はこれだろうと半ば確信していたからだ。

ただそんな考えなど知らない医者から早く入院をすること・・・それも長期入ってちゃんと体を治さなければ危険なことになりうる上に、探偵のような不規則な生活をしていて通院だけで済ませようとしたならまず完治は見込めない上、いつ体調が急変するか分からない・・・そう言われた小五郎は流石にそれはまずいと思ったことから、蘭に英理の二人へとその件に関して連絡をして話をするようにしたのだが、そこからその関係は新一達も含めて一気に壊れて取り返しのつかないものへとなっていったのである・・・






「その時には僕もその場にいたが、君が何気なく口にした言葉もそうだが蘭さんの不用意な同意の言葉でいかに毛利さんが激怒したか・・・それは君達の方がよく理解しているだろう」
「「っ・・・!」」
「そしてこちらは話に聞いただけですが、有希子さんと優作さんがその後に病院で入院していた毛利さんに謝罪に行った際にも激怒されたということも聞いています・・・そしてそれでアメリカにいた頼人君は除外する形になりますが工藤家もそうですが蘭さんも面会拒否になり、それで仕事の忙しい妃さんの代わりに病院に足しげく通うようになった志保さんと繋がりが出来ていったことから始まったと聞きました。その時から二人の関係はゆっくりではありますが、次第に深まっていったとのことです」
「「っ・・・!」」
更に話を続ける安室だが、先に新一と蘭が息を呑み後に続いた話の中身に優作と有希子がまた苦い顔を浮かべた。いかに自分達が小五郎を怒らせたかを思い出させられたこともだが、そういったことから二人の結び付きが出来ていったと言うことに。









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