苦い思いの乱れる未来

「そう言っていただけるのでしたらいいのですが、話を聞いて分かりました。まず貴殿方の考えと新一達の気持ちが合致した上で和解が出来るかどうかを考えると、相当に難しいだろうということは」
「・・・ならどうすりゃいいかとか、お前には考えはあるのか?」
「えぇ、ありますよ」
「あるのか!?」
それで頼人がその言葉と状況を受け入れたことに小五郎はどうかと聞くが、あっさり考えがあるとの答えが帰ってきたことに志保共々目を丸くする。
「えぇ。ですが私の考えはあくまで貴殿方二人の状況を今よりいいものにすることであって、今日本にいる方々に関しては辛いものになるでしょう。そしてそれらを実行するなら貴殿方二人もその為に苦境に身を投じることが必要になりますが、まずは話を聞いてみますか?私は別にこうしろとは強制はしませんし、話を聞くだけなら何もしないのと一緒です」
「・・・どうする、志保?」
しかしだからと言って簡単には済まないといったように念押しをする頼人に、小五郎は隣の志保に確認の視線を向ける。
「・・・聞いてみましょう。彼のおかげでしばらくは工藤君達も来ないとは思うけれど、そのしばらくを越えて痺れを切らす人がこちらに来る可能性も有り得るもの。特に蘭さんがそうなったら工藤君達が止めても止まらないのは目に見えているし、無理矢理にでも日本に連れに帰ろうとするのもまた簡単に予測がつくわ」
「っ、蘭か・・・確かにあいつなら俺達を引き戻しにかかりにきてもおかしくはないか・・・分かった、頼む話してくれ頼人・・・」
「えぇ、分かりました」
そんな志保が聞くと言いつつ出した蘭との名前に小五郎も決意は決まったと、頼人に話してほしいと神妙に頭を下げ頼人もすぐに頷いた。これからのことを思い、打開が出来るならそうしようと・・・


















・・・そうしてしばらくの時が経ち、頼人は二人を連れて日本に戻って話し合いをしたいから時間を取って欲しいと新一もそうだが優作達にも連絡をした。

そんな頼人からの要望に新一に優作達は多少苦い気持ちを感じつつも了承を返し、何時に集まるかというように約束を交わし・・・その当日になり、集合場所の工藤家に集まった。



「・・・さて、皆さん揃ったようですね」
「あの・・・なんで安室さんがここにいて、まとめるような立場にいるんですか?それになんでお母さんも・・・?」
・・・それで集まった工藤邸のリビングにて。頼人を除いた工藤家三人と蘭が並んでソファーに座る中、対面にテーブルを挟んで頼人に小五郎に志保と英理がソファーに座っている。
そんな面々の対峙の中で一人椅子に座らずテーブルの横で中立といった立場で司会のように言葉を発する安室に、言葉を発した蘭だけでなく新一達もどういうことかと疑問を浮かべていた。何故この問題に関わりのないはずの安室がここにいて、司会紛いな事をしているのかと。
「・・・その事に関しては毛利さん達が僕に頼んできたと言うよりは、頼人君の誰か第三者にこの場にいてもらった方がいいという言葉から話が来たのさ。今回の件を大事にならないようにするためには、僕以外のこの場にいる面々だけで話をするのは勧められる事ではないと」
「えっ・・・どうして・・・?」
「・・・率直にまず結論から言わせてもらおう」



「今回こうして皆さんに集まっていただいたのは毛利さんと妃弁護士の離婚についてを取りまとめる為だ」



「「「「っ!?」」」」
・・・だがそんな安室が丁寧な話し方ながらも意を決して口にした言葉に、新一側に座っていた面々は驚愕の表情を浮かばせるしかなかった。まさか二人が離婚する事に関してを取りまとめるなどと言われるとは思っていなかったと。



「そしてそういった話になった理由についてだが・・・毛利さんがそちらの宮野志保さんと肉体関係を持ったことからだ」



「「「「っ!!?」」」」
・・・だが安室が更に続けた理由についてを聞いて、更なる驚きを浮かべる以外に新一達は出来なかった。覚悟をしていたというように目を閉じる二人の姿を前にし、本当なのかという驚きの視線を向けながら。









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