苦い思いの乱れる未来

「・・・この際です。話をすると言うのであれば、新一達の事も含めた全てについて話していただけるとありがたいです。中途半端に話せない部分は話せないと濁された話を聞くのは面倒ですから、そうするというのであればいっそ話はしないでください。こちらは別に貴殿方の事を吹聴するつもりはありませんし、私が先程のように考えた推測についてを話さないと約束していただければ以降もこちらに滞在していただいて構いませんので」
そうした姿を見てから改めて話をするならと自分からの要求を頼人が口にしていくと、二人はすぐに難しげに顔を見合わせあう。
「・・・どうする、志保?もうここまで来た上に交換条件まで出されたんだから頼人に全部話しちまった方が説明は楽だろうし、頼人なら新一達に何か言うなんてこともねぇと思うが・・・」
「それは私も思ったけれど・・・私達の事情は色々と複雑だから、話を聞いたら彼が後悔するかもしれないわよ?」
「後悔するかどうかは私が決めることですし、話を聞けば私に何か出来るかもしれません。と言うより貴殿方の状況をよくも悪くも打開するには事情をよく知る者達ではなく、外から見た意見だと私は思います・・・こうして二人だけでこちらに来た辺り、貴殿方も事情を知る方々で自分達に味方をする人はいないと思ったからこそ何も新一達に言わなかったのではないですか?」
「っ・・・鋭いわね、本当に・・・」
小五郎は話すべきではと言って志保がどうかと難色を示す中、頼人の割って入ってきた言葉に苦くも間違ってないと認めるしかなかった・・・事実、二人は新一達に理解されないと確信していたことから頼人の元に来たために。
「それに新一達の事に関して謝らなければならないと私は言いましたが、貴殿方に協力することが私からのせめてもの謝罪になると思いますし貴殿方もこの状況をいい方向で打開出来るかもしれません・・・どうしますか?」
「・・・貴方は私達から話を聞いたら無条件で協力するつもりでいるの?私達の話もまだ聞いてもいないのに・・・」
「言ったでしょう、謝罪のようなものだと。宮野さんに関してはまだしも、毛利さんにはそうするだけの理由は私にはあります。それに大方の推測ですが、新一達の方に大きな非があるのは推測出来ます・・・ですのでこちらは推測が正しければ出来る限りの協力はさせていただきますよ」
「・・・いいわ、そこまで言うのなら話をさせてもらう。と言うより貴方のさっきの推測は間違ってはいなかったし、私達二人が彼らとどうなったのかについても大方予測はついているでしょうからね・・・」
頼人はそんな様子の志保に決して悪いようにはしないといったように話を進めていき、志保はとうとう観念したように話すと返した。頼人なら予測は出来ているだろうからと・・・


















・・・そうして小五郎に志保は頼人に話をした。自分達がいかな経験をしてきて、どのように新一達と揉めてきたのかを・・・



「・・・成程、そういったことから貴殿方は新一達の元から何も言わずに離れたと言うことですか・・・」
「・・・ちなみに貴方は推測は出来ていたかしら?」
「大方の流れくらいですが。流石に貴殿方の行動を全て把握している訳ではなかったので、全部が全部予想通りというわけではありませんでしたが・・・それでも新一達の行動により毛利さんが割を食ったのは確かでしょうが、そちらに関してを改めて謝らせていただきます・・・すみませんでした毛利さん・・・」
「オメーが頭を下げなくてもいい、頼人・・・確かにお前は推測はしてたかもしれねーが、そうしちまったのはあいつらなんだからな」
・・・それで話も終わり志保の確認の言葉に謝罪の言葉を向ける頼人に対し、小五郎は違うと首を横に振る。悪いのは新一達だと。









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