苦い思いの乱れる未来
「心配しなくても構いませんよ。私はこの事を言いふらすつもりはないどころか、そもそもこちらは毛利さんに謝らなければならない立場にあります」
「謝らなければって・・・」
しかしそこで話を触れ回る気はないどころか謝るという言葉が頼人から出たことに小五郎はどういうことかと眉を寄せる。
「私はこの推測に関してを毛利さんに言おうと思えば言える立場にありました。ですがそれを言って正しかった場合に毛利さんが余計に面倒になりかねないのもそうですが、何より私が巻き込まれることを懸念して何も言わないようにしようと決めたんですからね」
「巻き込まれるって・・・」
「・・・そうね。貴方が日本に戻ってきたあの時に今の推測を口にしていたなら、まず間違いなく工藤君もそうだけれど貴方の言う『沖矢昴』も貴方の事を放っておきはしなかったでしょう。かなり運が良かったなら困ったことがあれば自分達に協力することを前提に黙っているなら帰っていいと言われるに留まったかもしれないけれど、今の推測だけを聞いても工藤君に負けず劣らずの推理力があると感じたからあの人達ならその能力を自分達に協力することに使ってくれと・・・そう貴方に持ちかけていたでしょうね」
「えぇ、宮野さんの言う通りです。そしてそうなった場合に面倒なのは新一より、『沖矢昴』の方です。新一はまだ自分の家族だからと言うことでどうにかと動いてくれるかもしれませんが、そちらはれっきとした赤の他人ですし情報漏洩などを恐れるだったり使える手駒を増やすなどといった考えから口封じも兼ねて、新一には言わずに私に独自に接触しかねない可能性が十分に有り得ました。そしてそれは毛利さんに話をしていたなら毛利さんのリアクションからの行動を含め、私共々協力してもらいたい・・・と、有無を言わさずに協力させようと動いていたでしょう。特に毛利さんには今新一が活動出来なくなるのは好ましい事ではない上、その事を口にしたら制裁を行わなければならないから監視下に置かねばならなくなる・・・と脅しにかかる形でです」
「っ!?・・・だから俺が事実を知ったって風にしないためにも、お前は黙っていたということか・・・」
「そういうことです」
・・・だが続いた頼人もそうだが補足に入る志保の真剣な言葉と話の中身に、小五郎はたまらず冷や汗を浮かべながらも事の重大さを理解してしまった。推測を頼人が口にしていたなら頼人もそうだが、それ以上に小五郎の立場が危うかったであろうことを存分に感じて。
「この事に関してはいくら理由があろうとも私が何も言わなかったことに変わりはありません。もし毛利さんが怒りを覚え私を殴りたいと言うのでしたら甘んじて私はその拳を受けましょう」
「いやいや待て待て!俺はそんなことするつもりはねぇ!」
「・・・私に対して怒りは無いのですか?」
ただ頼人がそこで殴られる覚悟があると口にしたことに小五郎は慌てて首を横に振るが、その反応にキョトンとしたように目を丸くする。
「・・・あ~・・・怒りとかってのは別にねぇよ。お前の言葉通りならお前は巻き込まれるのを嫌がってたって部分の方が大きいんだろうが、それでも頼人から推測についてを聞かされたなら俺の立場は今より余計に悪くなってただろうってのは想像がついたんでな。だから別に頼人には怒りはねーよ」
「私には、と言うことなら新一達にはあるんですね?」
「っ・・・お前にそんなこと言うのも何だかとは思うがな・・・」
小五郎はその姿に自分の中の言葉を探すように話をして怒りはないと口にするが、ニュアンスについてを突いた頼人の言葉に苦々しげになりながらも頷く。新一達には確かに怒りはあると。
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「謝らなければって・・・」
しかしそこで話を触れ回る気はないどころか謝るという言葉が頼人から出たことに小五郎はどういうことかと眉を寄せる。
「私はこの推測に関してを毛利さんに言おうと思えば言える立場にありました。ですがそれを言って正しかった場合に毛利さんが余計に面倒になりかねないのもそうですが、何より私が巻き込まれることを懸念して何も言わないようにしようと決めたんですからね」
「巻き込まれるって・・・」
「・・・そうね。貴方が日本に戻ってきたあの時に今の推測を口にしていたなら、まず間違いなく工藤君もそうだけれど貴方の言う『沖矢昴』も貴方の事を放っておきはしなかったでしょう。かなり運が良かったなら困ったことがあれば自分達に協力することを前提に黙っているなら帰っていいと言われるに留まったかもしれないけれど、今の推測だけを聞いても工藤君に負けず劣らずの推理力があると感じたからあの人達ならその能力を自分達に協力することに使ってくれと・・・そう貴方に持ちかけていたでしょうね」
「えぇ、宮野さんの言う通りです。そしてそうなった場合に面倒なのは新一より、『沖矢昴』の方です。新一はまだ自分の家族だからと言うことでどうにかと動いてくれるかもしれませんが、そちらはれっきとした赤の他人ですし情報漏洩などを恐れるだったり使える手駒を増やすなどといった考えから口封じも兼ねて、新一には言わずに私に独自に接触しかねない可能性が十分に有り得ました。そしてそれは毛利さんに話をしていたなら毛利さんのリアクションからの行動を含め、私共々協力してもらいたい・・・と、有無を言わさずに協力させようと動いていたでしょう。特に毛利さんには今新一が活動出来なくなるのは好ましい事ではない上、その事を口にしたら制裁を行わなければならないから監視下に置かねばならなくなる・・・と脅しにかかる形でです」
「っ!?・・・だから俺が事実を知ったって風にしないためにも、お前は黙っていたということか・・・」
「そういうことです」
・・・だが続いた頼人もそうだが補足に入る志保の真剣な言葉と話の中身に、小五郎はたまらず冷や汗を浮かべながらも事の重大さを理解してしまった。推測を頼人が口にしていたなら頼人もそうだが、それ以上に小五郎の立場が危うかったであろうことを存分に感じて。
「この事に関してはいくら理由があろうとも私が何も言わなかったことに変わりはありません。もし毛利さんが怒りを覚え私を殴りたいと言うのでしたら甘んじて私はその拳を受けましょう」
「いやいや待て待て!俺はそんなことするつもりはねぇ!」
「・・・私に対して怒りは無いのですか?」
ただ頼人がそこで殴られる覚悟があると口にしたことに小五郎は慌てて首を横に振るが、その反応にキョトンとしたように目を丸くする。
「・・・あ~・・・怒りとかってのは別にねぇよ。お前の言葉通りならお前は巻き込まれるのを嫌がってたって部分の方が大きいんだろうが、それでも頼人から推測についてを聞かされたなら俺の立場は今より余計に悪くなってただろうってのは想像がついたんでな。だから別に頼人には怒りはねーよ」
「私には、と言うことなら新一達にはあるんですね?」
「っ・・・お前にそんなこと言うのも何だかとは思うがな・・・」
小五郎はその姿に自分の中の言葉を探すように話をして怒りはないと口にするが、ニュアンスについてを突いた頼人の言葉に苦々しげになりながらも頷く。新一達には確かに怒りはあると。
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