苦い思いの乱れる未来

「・・・新一や父さん達と何があったか話したい、ですか。別に構いませんよ?無理して話をしようとしないで」
「いや、そう言うわけにはいかねぇ・・・確かに言いにくい部分がある上に全部が全部俺達の事を言える訳じゃねーが、それでもお前に何も言わないまんまで全部済ませるってのは良くねーって志保と話し合ったんだよ」
「本当なら言うべきではないんじゃないかと思ったけれど、ここまで世話になっているのだから少しは事情を説明するべきだって言われて・・・」
「成程・・・毛利さんは話したいというのに対して、宮野さんはあまり乗り気ではないということですか・・・」
・・・それで夜になって一対二の形でソファーに座り頼人は対面上にいる二人に確認を向けるが、熱量の差がある二人の様子に一つ頷く。
「・・・では貴殿方が話しやすくなるよう、新一達と何が起きたかの理由についての私の推測を話してもいいですか?」
「は?推測ってなんだ?」
「『江戸川コナン』に『沖矢昴』が関わっていますね?貴殿方がこちらに来た理由は」
「「っ!?」」
そうして理由の推測と切り出す頼人に小五郎は首を傾げようとしたが、ズバリと出てきた二つの名前に二人はたまらず驚愕に目を見開いた。
「その反応からして間違いではないようですね・・・ではまずは私からお話をしましょう。二年少し前に日本に戻った時に私が感じて考えたことについてを」
頼人はすぐにその反応に正解だと判断してまずはと話し出す。自分が何故そう思ったのかについて、日本に帰ってきた時に感じたことについてを・・・



















「・・・と言うわけで私は新一が何らかの厄介に巻き込まれていると同時に、毛利さん達を利用していると見たんです。色々と怪しい要素が揃っていたのもありましたが、何より毛利さんが新一や父さん達並に事件に出会すなんて有り得ないと感じたんですよ。こちらに来る前の毛利探偵事務所の様子を思い出す限りではそんなものとは縁遠かったというのは確かでしたからね」
「ま、まぁ間違っちゃいないが・・・まさかそこまで推測されてるなんて・・・」
「やはり父さんが『沖矢昴』という存在を『江戸川コナン』という小学生低学年の親戚の子ども一人の言うこと一つで軽々しく家にいてもいいと許可を出したことが不自然極まりなかったですからね。毛利さんは父さんはいい人だと思っているでしょうしそれは間違いはありませんが、決して騙されたり物を盗られても笑って許せるであったり子どもの言うことを言葉一つで真に受ける程人がいいという訳ではありません。父さんは新一以上に人生経験豊富で事件に遭遇しているのですから、何か『江戸川コナン』が自分の中で信じるに値する材料を持っていたから『沖矢昴』を信じるに値すると判断した・・・と考えていって今言ったような推測に行き着いたんです」
「マジか・・・」
・・・そうして前に来た時に考えていたことについてを話終えた所で小五郎が絶句する中、頼人は次に志保に視線を向ける。
「それで貴女は大方阿笠さんの所にいた少女ですね。面影があるのもそうですが、新一と何らかの関係があったから貴女は阿笠さんの所にいたんでしょう。父さんとは違って人は良くとも阿笠さんも見知らぬ子どもを引き受けるような方ではありませんし、何よりあの時私を見ていた貴女の目に態度は警戒心の強い子どもと言うにはあまりにも理知的過ぎました。大方新一があんな姿になった可能性を考えた上で、新一を小さくした者達と関係があってそこから新一に近付いたのでは?」
「なっ・・・そ、そこまで推測出来るなんて・・・!」
「と言うことは合っているんですね、私の推測は」
「ぁっ・・・!」
頼人はそのまま志保も関係しているだろうというように推測についてを話していくとこちらも驚愕に表情と声を揺らすが、正解だという証拠を示してしまったという事を頼人に示してしまった事にたまらず手で口を覆った。驚きのままに口を滑らせてしまった失態に。









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