万人が万人、同じ考えに視点など持ち得ない

「・・・ねぇ、御堂筋君。こんな風になったのってやっぱり、工藤さん達にとっては良くなかったんじゃないかな・・・?」
「それを言うんならボクゥやのうて、記事を出した射命丸サァンに言うべきやろ。ボクゥはあくまできっかけでしかあらへんわ」
・・・それで記事が出てから御堂筋と坂道は教室にて二人椅子に座り机を挟んで向き合う形で坂道の持つ携帯を見ながら話し合うのだが、御堂筋は不安げな坂道に平然とした様子で返していた。新一達に対する批判や誹謗中傷の数々が書かれた掲示板に。
「それにボクゥが言うたから後乗っかりみたいな形で私も私もいうような人も出てきたけど、なんかきっかけがあったらボクゥは関係無く工藤サァン達の事は出とったいうことは有り得た・・・くらいに思うといた方がええと思うで。やないと射命丸サァンの記事に答えた人が嘘ゆうとることになるんやし」
「う~・・・そう言われると何も言えない・・・」
そんな掲示板を見ながらもう気にするなというように御堂筋が言うと、坂道も複雑そうながらも否定は出来なかった。御堂筋はきっかけにしか過ぎなかったと、そう思った方が建設的だといった言葉を理解出来ると思ってしまい・・・






「・・・貴女の出した記事が反響をもたらした感想はどうかしら?」
「勿論最高です!後は幻想郷に戻って同じかそれ以上のムーブメントを作るネタを早く掴み、記事を書き上げたいです!」
・・・そんな御堂筋達と同時刻。とあるビルの屋上にて紫と射命丸は会話を交わしていた。幻想郷に戻る為の期限が来たため、射命丸にどうだったのかと感想を聞く形で。と言っても射命丸はご機嫌であることを隠しきれていないのだが・・・
「ご機嫌なのはいいのだけれど、今回で件の二人は苦労しているのは貴女も知っている筈だけれどそこについて思うところはあるかしら?」
「苦労しているのは分かりますよ?けれど言ってはなんですが、事件によく出会う中で順風満帆だった人達がどん底に突き落とされたみたいなことから事件を起こした・・・みたいな人がいるのも見て知っているはずなのに、自分がそうならないなんて事を考えてたなんて言うのは見通しが甘過ぎだと思いますし、あくまで私はきっかけにしか過ぎないと思ってますから彼らについてはどうとも思っていませんよ」
「・・・そうね。貴女はあくまで種火を点したきっかけ程度で、彼らに燃え広がった火に更なる風を吹き込んだのは彼ら自身の迂闊さ・・・そう考えれば彼らに同情する筋合いは貴女からすればありませんわね」
「そう言っていただけて幸いです!」
そんな射命丸に申し訳ないという気持ちについてを紫は問いかけるが、欠片もそんな気はないといった様子のうかがえる返答にむしろ納得だと口にするとまた元気よく笑顔で返す。






・・・御堂筋に坂道は多少事情はあれども人ではあるが、射命丸に紫はれっきとした妖怪だ。一応人のルールに合わせる事が出来るくらいには適応力はあるし思いやりも持ってないわけではないが、だからと言って別に誰彼にとそんなものを振り撒くほど人がいい訳ではない。むしろそんな物から程遠い存在が妖怪であり、幻想郷の有力者の女性陣に共通してある特徴である。

故に紫は一応は聞きはしたが実のところはどうだってよくて射命丸に問い掛けをして、射命丸もそういった紫の意図は理解して答えたのだ・・・実際の所は新一達が窮地に陥れたことになど悪気もないし、別段悪いことだとも思ってもいないということを。

それに二人も御堂筋と同じように口にしたが、あくまでも射命丸の記事はきっかけであるというだけだと本心からそう思っているのだ。こうまで情報が広まり批判が集まったのは幻想郷とは違い機械やインターネットの普及がされているからであり、新一達の行動も相まって更なる相乗効果が生まれているのだということを確認していて、記事を出して以降は本当に射命丸は何もしていないからこそ・・・









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