万人が万人、同じ考えに視点など持ち得ない

「・・・射命丸サァンの話を聞いたのもありますけど、今まで通りには活動はせぇへんやろうにしてもやからって探偵としての活動までは止めへんと思います。理由としてはそこに山があるからみたいな感じで、事件があるからみたいに関わるのは止められへんでしょうし。ただ同じ轍を踏むようなことはせぇへんとでも思って、射命丸サァンみたいなマスコミ関係者に対して対策やら何やらするでしょうけど・・・それが失敗するんは目に見えてますわ」
「あやや、どうしてですか?彼らの能力自体の高さは君も知っている筈ですが」
「能力云々やのうて、結局自分がやっとることは正しい思うとるからです・・・そんな人らがお行儀ようしようとしたとこで、表向きに問題になったことしか解決しようとは思わんでしょう。注意したことに目を奪われるあまり、また別の問題に足を掬われるのは目に見えますわ。言うなら頭隠して尻隠さずゆう感じです」
「成程、御堂筋君もそう見ますか」
それで考えをまとめた御堂筋は口から手をどけ面倒そうに新一達の失敗についてを口にしていくと、射命丸も納得といったように頷く。
「も、いうことは射命丸サァンもそう考えとるんやろうけど・・・もうあの二人に関して取材せんのは新聞社を離れるからですかァ?」
「それもありますが、私が取材したいのはあくまでも私だけが見てることに関しての取材ですからね。なのに他の方々がやっていることの二番煎じ以下の事に加えて、それを自分の出した記事で行うなんて流石に私もやりたくはありません」
「そうですかァ・・・らしいっちゃらしいですけど、ボクゥが面倒にならんならええか」
御堂筋はそんな射命丸の言葉に突っ込みつつ取材はしないのかと確認すると、笑顔でしない理由を口にしたことに別に興味はないというように漏らす。そしてそんなやり取りを端で見ていた坂道はオロオロとし、紫はただ愉快げな笑みを上品に浮かべていた。


















・・・そうして高級店を出て御堂筋達と射命丸達はお別れし、各々の日常に戻っていくのだがそれから程無くして新一達が事件に関わった上で箝口令のようにこの事件に関わったことは内緒にしてほしい・・・と、たまたま現場に居合わせた新聞記者の人間がそんな内容の記事を挙げた。

何でも記事の中身を見る限りでは新一が前に出された射命丸の記事以降に自分が事件を解決したことは周りに言わないでほしいと、事件の現場にいた人々に言い含めていたことをその記者は取材の末に掴んだとの事だった。

ただそういったことを言われて黙りはしたものの、事件を解決したんだからいいかと納得したものもいれば、釈然としないままに口を閉ざしていたものとで分かれていたとの事だった。前者は厄介な事件を解決してくれたのだからこれでいいと思い、後者は前の射命丸の記事でひよった上で批判を浴びないようにと牽制をしてきた物だと思い。

そういった記事が出てきた事にまたネットでは新一達の事が話題になった・・・評価としては今言った二つのようなものであるが、量にして言えば圧倒的に後者のような形の声が多かった。これはやはりと言うか、わざわざ口を閉ざしてほしいと願ってまで推理を行ってきたことにその記事の中身が思い切り尾を引いていた・・・結局事件の解決の時に見える笑みを見ると、推理をすることに事件があること楽しんでいるように思える節があるという記事の中身が。









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