万人が万人、同じ考えに視点など持ち得ない

「・・・というか、そっちのお姉さんに話を聞かれてもええんですかァ?見たところ記者の人には見えませんけど・・・」
「大丈夫ですよ、紫さんは信頼出来る方ですから。それにちょっと先約があったもので、御堂筋君達と一緒でもいいかと聞いたところオッケーが出たのでこうして同席していただきました」
「フフ、私の事は気にしないでいいわよ」
「そうですかァ・・・」
ただもう一人前には関係のなかった人物が射命丸の隣に座っている・・・そんな人物である妖怪という存在からかけ離れた絶世の美女にしか見えない紫の姿を見てから御堂筋は確認の言葉を向けるが、射命丸も紫も柔らかな笑みを浮かべつつ大丈夫だと返す様子にただ疲れたようになりながら脇にあったメニューに手を伸ばす。
「もうええですわ・・・サカミチィ、今日は遠慮なく食べたいもん頼みや。こんなええとこのご飯なんかそうそう食べれへんから、いっぱい食わな損やからな」
「えっ、で、でも大丈夫なの・・・?」
「今日はお姉さんに任せてください!いくら食べてくださっても大丈夫ですから!」
「は、はぁ・・・」
御堂筋はそのままメニューに視線を向けながら坂道に当て付けと言わんばかりに食うように言い、坂道が戸惑いに声を漏らすが射命丸が笑顔で大丈夫と強く口にする様子に戸惑うしかなく、紫はそんな光景を意味深な笑みを浮かべながら見ていた。




















・・・そうして御堂筋は遠慮なく鰻を始めとして様々な物を頼み、坂道は射命丸の笑顔の勧めにより御堂筋よりは遠慮はしたものの色々と頼み、紫は全く遠慮することなく笑顔で食べたいものを頼んで四人ともに食事を進めていった。



「・・・ご馳走さまでした。美味しかったです、本当に」
「そう言ってもらえて良かったです!」
そうして出てきた料理を食べ終えた所で笑顔で礼を言う坂道に射命丸も満面の笑顔で答える。
「・・・改めて言いますけど、ホンマにええんですか射命丸サァン?わざわざボクゥに礼したかった言うてもこんなええとこのご飯なんか奢って」
「いいんですよ!それにまだ少しはこちらにいますが、もうちょっとしたらここを離れますので最後のお礼と言うことで気にしないでください!」
「・・・離れるですかァ・・・ま、ええですわ。射命丸サァンの事情は知りませんけど、ボクゥがどうこう言うようなもんやないですし」
「あやや、私と離れることが寂しくないんですか?」
「別に寂しないですわ」
「相変わらず手厳しいですね~、御堂筋君は」
それで御堂筋も礼を言う中で射命丸がもう少しで離れると切り出すのだが、全く躊躇することなく特に惜しくないと返したことに特に気分を悪くした様子も見せない。
「まぁいいです、御堂筋君には色々お世話になりましたからね。ただここを出たらもう御堂筋君とお話をすることはなくなると思いますから最後にお聞きしたいんですが、取材とかそんなんじゃなくて単純にこれから工藤君達はどうなっていくと思いますか?」
「・・・工藤サァン達がどうなるか、ですか・・・」
ただと射命丸はそんな様子のまま最後にと新一達の事についてを聞くと、御堂筋は口元に手を置いて考え込むように間を空ける。









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