いつかを変えることの代償 後編
「方法と手段を選ばないこと・・・これ自体を批難するような気は私にはありません。自身の目的を達成するのに手段を選べばそれだけ時間に手間がかかるばかりか、目的が達成出来ないような事になるのは好ましくありませんからね。ただそこが工藤君が私寄りであると言った点ですが、同時に直接そのことを彼に言ったなら自分とお前は違うと否定されるだろうとは思います。自分は事件を解決するためだったとか、そのようなことを言う形でです」
「だろうな・・・あいつがそう言ったことで自分は悪いことをしてるだなんて認めるとは思えねぇしよ。そこんとこあいつに自覚がなかったっつーか、線引きってヤツが曖昧って言うか、自分は正義の探偵だからいいんだ・・・だーくそっ、なんて言えばいいか正直わかんねーな・・・」
「その全部が当てはまってるという認識でよろしいと思いますよ・・・私は自分が善人であるなどという認識はしていませんが、それでも一般的にやっていいことと悪いことがどんなことかの区別はつけています。ですが工藤君の場合はそう言った気持ちであったり私心をない交ぜにし、自分の起こしている行動に対してのハードルを下げているんです。それこそ自分が探偵であり、事件の真相を暴いているのだからと・・・この辺りが私と工藤君の違いになります」
「・・・自分にだけあめぇって言うか、都合がいいってことか・・・」
高遠はそこから丁寧にいかに新一が自分と近い点を持ちながら自分と違うかを語っていき、小五郎は苦み走った表情にたまらず変わってしまう・・・そこまで言われてしまう新一に、その中身を否定出来ない自分がいたことに。
「それも工藤君が自分の事を誰に恥じることない探偵だと相当に自信を持っているからでしょうけれどね。その点では金田一君は自分が探偵だから私を許さないなどと言うのではなく、あくまで一個人として私を止めたいであったり捕まえたい・・・そういった金田一君だったからこそ、私は彼を平行線だと評したのです」
「・・・じゃあお前にとって新一は平行線かどうかはともかくとしても、敵と見るに値しねぇヤツだったってことか?」
「いえ。話を聞く限りでは十分に彼も厄介な能力だとお聞きしていますし、私と接触していたなら私を捕まえようと躍起になっていたでしょう。ですが先に言いましたように前世では彼との縁など結ばれませんでしたし、今生では犯罪者になるつもりはありませんからね。ですから彼ともそうですが、金田一君とも今回は相対するつもりはありませんよ」
「待て・・・犯罪者にならないだと?それは本当なんだな?」
そんな新一と金田一の違いを語る高遠だが、小五郎は途中でその言葉を止める。前世で色々とやらかしてきた高遠が犯罪者にならない、そう宣言したことを確かめるために。
「えぇ、本当です。そもそも私が地獄の傀儡師になったのは母を殺し、ノートを奪い平然としてきた山神達を殺すためでしたが今回は母が無事ですからそんな事をするつもりはありません。今生では純粋に表舞台にマジシャンとして立ち、母にも負けないように活動していくつもりです」
「・・・地獄の傀儡師としてっつーか、前のような生き方が性に合ってるからそうしたいなんて思わなかったのか?」
「そういった考えもありましたが、元々私はマジシャンになりたいと思って前世では活動してきました。その途中で母の死とその真相を知り地獄の傀儡師として山神達を殺していく中で金田一君に相対して真相を暴かれ、牢獄を脱獄した後は犯罪をプロデュースする犯罪コーディネーターになりましたが私の根底には表舞台でマジシャンになりたいという気持ちは今もあります。以前のような立場も悪くないとは思ってはいますが、明智警視に母を救っていただいた恩もありますので今生では犯罪者にわざわざ身をやつすつもりはありませんよ」
「・・・そうか。それなら構わねぇよ」
高遠はその言葉は間違いではないと動機もなく自身の気持ちがマジシャンに向いていることを口にし、小五郎はそう聞いて追求をそこで止める。ならいいといった言葉で。
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「だろうな・・・あいつがそう言ったことで自分は悪いことをしてるだなんて認めるとは思えねぇしよ。そこんとこあいつに自覚がなかったっつーか、線引きってヤツが曖昧って言うか、自分は正義の探偵だからいいんだ・・・だーくそっ、なんて言えばいいか正直わかんねーな・・・」
「その全部が当てはまってるという認識でよろしいと思いますよ・・・私は自分が善人であるなどという認識はしていませんが、それでも一般的にやっていいことと悪いことがどんなことかの区別はつけています。ですが工藤君の場合はそう言った気持ちであったり私心をない交ぜにし、自分の起こしている行動に対してのハードルを下げているんです。それこそ自分が探偵であり、事件の真相を暴いているのだからと・・・この辺りが私と工藤君の違いになります」
「・・・自分にだけあめぇって言うか、都合がいいってことか・・・」
高遠はそこから丁寧にいかに新一が自分と近い点を持ちながら自分と違うかを語っていき、小五郎は苦み走った表情にたまらず変わってしまう・・・そこまで言われてしまう新一に、その中身を否定出来ない自分がいたことに。
「それも工藤君が自分の事を誰に恥じることない探偵だと相当に自信を持っているからでしょうけれどね。その点では金田一君は自分が探偵だから私を許さないなどと言うのではなく、あくまで一個人として私を止めたいであったり捕まえたい・・・そういった金田一君だったからこそ、私は彼を平行線だと評したのです」
「・・・じゃあお前にとって新一は平行線かどうかはともかくとしても、敵と見るに値しねぇヤツだったってことか?」
「いえ。話を聞く限りでは十分に彼も厄介な能力だとお聞きしていますし、私と接触していたなら私を捕まえようと躍起になっていたでしょう。ですが先に言いましたように前世では彼との縁など結ばれませんでしたし、今生では犯罪者になるつもりはありませんからね。ですから彼ともそうですが、金田一君とも今回は相対するつもりはありませんよ」
「待て・・・犯罪者にならないだと?それは本当なんだな?」
そんな新一と金田一の違いを語る高遠だが、小五郎は途中でその言葉を止める。前世で色々とやらかしてきた高遠が犯罪者にならない、そう宣言したことを確かめるために。
「えぇ、本当です。そもそも私が地獄の傀儡師になったのは母を殺し、ノートを奪い平然としてきた山神達を殺すためでしたが今回は母が無事ですからそんな事をするつもりはありません。今生では純粋に表舞台にマジシャンとして立ち、母にも負けないように活動していくつもりです」
「・・・地獄の傀儡師としてっつーか、前のような生き方が性に合ってるからそうしたいなんて思わなかったのか?」
「そういった考えもありましたが、元々私はマジシャンになりたいと思って前世では活動してきました。その途中で母の死とその真相を知り地獄の傀儡師として山神達を殺していく中で金田一君に相対して真相を暴かれ、牢獄を脱獄した後は犯罪をプロデュースする犯罪コーディネーターになりましたが私の根底には表舞台でマジシャンになりたいという気持ちは今もあります。以前のような立場も悪くないとは思ってはいますが、明智警視に母を救っていただいた恩もありますので今生では犯罪者にわざわざ身をやつすつもりはありませんよ」
「・・・そうか。それなら構わねぇよ」
高遠はその言葉は間違いではないと動機もなく自身の気持ちがマジシャンに向いていることを口にし、小五郎はそう聞いて追求をそこで止める。ならいいといった言葉で。
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