万人が万人、同じ考えに視点など持ち得ない
「あ・・・一応確認はしますけど、こんな記事を書いたんなら幻想郷に帰さないなんて言いませんよね?」
「それは問題はありませんわ。貴女が妖怪としての力を使った訳ではないのは確認していますし、中身を確認した上で記事を出すと最終的に決めたのはこちらの編集長ですもの。ですから貴女を帰さないということはありませんけれど、残り期限は短いとは言わないにしても長くはありませんのであまり目立たないようにしてくださいな。後始末はある程度はして差し上げますが、面倒になるとこちらが困るのですから」
「分かっていますよ」
ただそんな笑みから一転して困った笑顔で確認を向ける射命丸に、紫が取り敢えず気を付けるようにすれば問題ないというように返すとまた自信に満ちた笑みを浮かべた。ヘマをするつもりは一切ないと。
・・・射命丸と紫。この二人は人間ではなく、妖怪という存在である。詳細は省くが紫が射命丸の頼みにより一年程度幻想郷という結界により普通には行けない場所から特別に出し、新聞記者として活動出来るようにと妖怪としての力を用いて入り込ませたのだ。
ただ紫との約束により色々と制限を射命丸は課せられたが、それは射命丸からしてさして問題はなかった・・・幻想境は基本的に女性の実力者には美少女に美女しかいない上、数も多いことに危険な人物であることは珍しくないことから、下手をすれば顔のいい女性は一部を除き危険だと認識して警戒する者もいるのだが・・・ここは幻想郷でない。
射命丸の見た目は下手などころかトップクラスのアイドルの中にポンと置いても通用するくらいには見目はいい上、自身もそれを自覚している。むしろテレビやら雑誌に出ているアイドルの姿を見て鼻で笑ったくらいだ。こんな程度の見た目でチヤホヤされるなら、危険さに性格さえ目を瞑り猫を被らせれば幻想郷の面々なら芸能界を席巻する事など容易だと。
そんな風に考えつつも射命丸は自身の容姿を利用することが可能であると考え、動くことにした。有り体に言えば容姿を利用した媚売りである・・・まぁ流石に体を売るようなことはしはしなかったが、それでも猫なで声を出して機嫌を伺っただけで編集長は射命丸の事をすぐにお気に入り認定して記事を作っていいし、出張費用も出すというように出来た。
この辺りは編集長が女好きであることもそうだが、射命丸自身の懐に入り込むスキルの卓越さもあった。元々からして射命丸は幻想郷においても表向きの愛想や要領の良さでは屈指に優れた存在であり、見た目より遥かに長寿な事からその程度の言葉を引き出すくらいは容易なことである。
・・・そしてそういったことからわざわざ関西方面にまで行って射命丸は取材が出来て、記事を書くことが出来たのだ。ただ紫から課せられた一年限りという時間制限があるため、射命丸は愛想は振り撒きはするものの広く浅くと言ったように交遊関係を深めずに過ごしてきた。紫の機嫌を損ねれば幻想郷に帰れなくなることは十分に有り得ることから、下手なトラブルを残してしまうのを避けるためにだ。
「まぁいいですわ。それよりこれだけの記事を書き上げて反響も出たのですから、給料に色も出るのではないのですか?」
「あやや、そう来ましたか。そこは忘れてはいませんが、どうせですから今度こちらの方で一緒に食事でもどうですか?折角ですから私が奢りますよ」
「あら、いいわね。では適当にまた貴女の元に来るからその時に行きましょうか。少し間を空けてからの方が貴女にとっても都合がいいでしょうし」
「そうですね。そちらの方がありがたいです」
そんなどこか油断ならない空気を滲ませる会話から一転して食事についてと和やかに話し合うのだが、紫が間を空けてと言ったことに射命丸も素直に頷く。
・・・一応というか、射命丸の記事は新一達が突撃してきたこともあるくらいには世間的に大きな衝撃を与えたことは二人はよく理解している。そしてその衝撃から射命丸の周りが色々と慌ただしくなると二人は見たのだが・・・それは間違いではないことは後に証明された。
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「それは問題はありませんわ。貴女が妖怪としての力を使った訳ではないのは確認していますし、中身を確認した上で記事を出すと最終的に決めたのはこちらの編集長ですもの。ですから貴女を帰さないということはありませんけれど、残り期限は短いとは言わないにしても長くはありませんのであまり目立たないようにしてくださいな。後始末はある程度はして差し上げますが、面倒になるとこちらが困るのですから」
「分かっていますよ」
ただそんな笑みから一転して困った笑顔で確認を向ける射命丸に、紫が取り敢えず気を付けるようにすれば問題ないというように返すとまた自信に満ちた笑みを浮かべた。ヘマをするつもりは一切ないと。
・・・射命丸と紫。この二人は人間ではなく、妖怪という存在である。詳細は省くが紫が射命丸の頼みにより一年程度幻想郷という結界により普通には行けない場所から特別に出し、新聞記者として活動出来るようにと妖怪としての力を用いて入り込ませたのだ。
ただ紫との約束により色々と制限を射命丸は課せられたが、それは射命丸からしてさして問題はなかった・・・幻想境は基本的に女性の実力者には美少女に美女しかいない上、数も多いことに危険な人物であることは珍しくないことから、下手をすれば顔のいい女性は一部を除き危険だと認識して警戒する者もいるのだが・・・ここは幻想郷でない。
射命丸の見た目は下手などころかトップクラスのアイドルの中にポンと置いても通用するくらいには見目はいい上、自身もそれを自覚している。むしろテレビやら雑誌に出ているアイドルの姿を見て鼻で笑ったくらいだ。こんな程度の見た目でチヤホヤされるなら、危険さに性格さえ目を瞑り猫を被らせれば幻想郷の面々なら芸能界を席巻する事など容易だと。
そんな風に考えつつも射命丸は自身の容姿を利用することが可能であると考え、動くことにした。有り体に言えば容姿を利用した媚売りである・・・まぁ流石に体を売るようなことはしはしなかったが、それでも猫なで声を出して機嫌を伺っただけで編集長は射命丸の事をすぐにお気に入り認定して記事を作っていいし、出張費用も出すというように出来た。
この辺りは編集長が女好きであることもそうだが、射命丸自身の懐に入り込むスキルの卓越さもあった。元々からして射命丸は幻想郷においても表向きの愛想や要領の良さでは屈指に優れた存在であり、見た目より遥かに長寿な事からその程度の言葉を引き出すくらいは容易なことである。
・・・そしてそういったことからわざわざ関西方面にまで行って射命丸は取材が出来て、記事を書くことが出来たのだ。ただ紫から課せられた一年限りという時間制限があるため、射命丸は愛想は振り撒きはするものの広く浅くと言ったように交遊関係を深めずに過ごしてきた。紫の機嫌を損ねれば幻想郷に帰れなくなることは十分に有り得ることから、下手なトラブルを残してしまうのを避けるためにだ。
「まぁいいですわ。それよりこれだけの記事を書き上げて反響も出たのですから、給料に色も出るのではないのですか?」
「あやや、そう来ましたか。そこは忘れてはいませんが、どうせですから今度こちらの方で一緒に食事でもどうですか?折角ですから私が奢りますよ」
「あら、いいわね。では適当にまた貴女の元に来るからその時に行きましょうか。少し間を空けてからの方が貴女にとっても都合がいいでしょうし」
「そうですね。そちらの方がありがたいです」
そんなどこか油断ならない空気を滲ませる会話から一転して食事についてと和やかに話し合うのだが、紫が間を空けてと言ったことに射命丸も素直に頷く。
・・・一応というか、射命丸の記事は新一達が突撃してきたこともあるくらいには世間的に大きな衝撃を与えたことは二人はよく理解している。そしてその衝撃から射命丸の周りが色々と慌ただしくなると二人は見たのだが・・・それは間違いではないことは後に証明された。
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