万人が万人、同じ考えに視点など持ち得ない

御堂筋の言葉から突破口を見出だした射命丸はならと、新一の普段の活動範囲が米花町近隣であることからそこから多少離れた場所で起きた事件の関係者に関してを取材することにしたのだが・・・まぁそれで全て順風満帆と言うわけには行かなかったものの、御堂筋の言葉通り不満を持っている人々の言葉に関してを射命丸は聞くことが出来た。これは射命丸にとってはかなりの進歩であった。

そしてそういった者達の言葉を取材していき、これならということで新一に対して何らかの不満があったであろう者達にこういった声もあったんですが・・・と言うと、堰を切ったかのようにその人々は新一に対する気持ちを吐露し出した。我慢してきたし下手に自分がそんな言葉を発したならどうなるか分からなかったのが怖かったが、同じような人物が多数いるなら自分も言えるというよう。

そういった声と姿に、これは集団心理のいい面も悪い面も併せ持ったケースだと射命丸は考えた。多数派という強者の影に怯える少数派の弱者が、同じような仲間を得たことにより行動を出来るようになることは。

だがそこについては深くは射命丸は考えることを敢えて放棄した。何故なら射命丸にとって重要なのはそんな人々への気持ちの追求などではなく、自らの思うようなスクープを作り上げるという想いの方だからだ。






「まぁ事件が君達の推理により解決したのはまだいいんですよ。実際にその推理が無ければ事件は解決しないばかりか、濡れ衣を着せられたかもしれない方もいたとのことですから・・・ですが記事にも書きましたが、君達は推理をしてこういう経緯でこう事件を解決したんで後の発表はよろしくとマスコミに全てを公にすることを丸投げしてしまったことが、そういった方々の不満を大いに招いたんですよ」
「じ、事件が解決したならそれでいいじゃ・・・」
「じゃあ君達は自分が解決した事件のその後のニュースであったりを詳しく見ましたか?」
「「え・・・?」」
射命丸はそんな勢いの消えた二人に更に不満を持たれた理由を話していき新一が何とか言い訳を口にしようとするが、すぐさま詳しくニュースを見たかと返され戸惑いの声を服部共々漏らす。
「あやや、その反応はそんなこと全く注意をしていなかったようですね。その辺りは君達は事件を解決したなら後は万事解決というか達成感から自分以外の事を大して気にしたことはなかったり、マスコミに対して事件をこう解決したんだと誰にも憚ることのない立派な事をしたという自信があるからなんでしょうが・・・事件に関わった人は犯人でなくとも、容疑者であったり関係者としてマスコミには周知されてしまうんです。なのにいついつのどの場所で、こういった人達がいてこういった事件が起きたからこういう風に解決した・・・なんて言ってしまえばマスコミに衆目に晒されたくない人達にまでも注目が集まるんですよ。君達が関わらないような普通の事件の場合は犯人逮捕の一報で済んで関係者の情報と言ったものは警察かそこに近しい人達の間で収まる筈なのに、君達がそういったように話をしたことによりただ事件現場に居合わせたというだけなのに目立ちたくも煩わしいことも望んでいなかった人にまでです」
「「っ!?」」
・・・そんな二人に射命丸はどういうことかと説明の言葉を口にしていくのだが、それらの言葉に二人は驚愕を浮かばせた。自分達がマスコミに自信満々に姿を現した影で、そんな風な形で人々に迷惑をかけたのだと言われて。









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