万人が万人、同じ考えに視点など持ち得ない

「・・・・・・ようやるわ、あの人・・・」
・・・それで寮の部屋のベッドに腰掛けつつ翌日出る新聞の自身の担当した記事が書かれた分の原稿のコピーですよという射命丸からの注釈の添えられた原稿を読み終わり、御堂筋は顔に手を当て盛大に呆れていた。ある程度話をして予測していたとはいえ、こんな中身の記事を出すことに対して。
「確実に来るやろな・・・工藤新一やらその知り合いが文句言いに射命丸サァンの所に・・・」
だが御堂筋がそんな風になるのは中身が問題ではなく、その中身を見て確実に工藤新一達が動くだろうことにあった。一度出会っただけであるが、あの工藤新一という存在がこんな記事を出されて黙っていられないだろうという予測が御堂筋には簡単に立った為に・・・


















・・・それで翌日になり、その射命丸の書いた記事はネットにて一気に話題となった。そしてその翌日に射命丸から嬉しそうに電話された御堂筋だが、ボクゥに連絡するより工藤サァンと誰かが来ると思いますから対処に準備した方がええと思いますよと返すと・・・この後会いに来るって電話が来ましたから応対しますよと、至って気楽で全く気にしていないといった言葉が返ってきた。

そんな様子に御堂筋はなら尚更ボクゥに関わるよりそっちに集中してくださいと言い、電話を切った。話に聞くだけでもかなり厄介そうであるのに、そんな面倒なことに何かの間違いから万が一妙な形で関わりたくないと思って。



「あやや、切られちゃいましたか。しょうがないですね、御堂筋君は面倒なことを嫌いそうですから」
・・・それで場所は新聞社の一室に移り、一人机と椅子が備え付けられた部屋の中にいた射命丸は笑顔を浮かべながら携帯をポケットに仕舞った。
「・・・まぁいいですか。そろそろ工藤君達もここに来る頃ですしね」
そうして笑みを愉快そうでいて嗜虐的に浮かべ、射命丸は窓に寄り会社に入ってくる複数の人の姿を見届ける。これから自分の元に工藤新一達が来ることを確認して。






・・・それで数分が経ち、射命丸の部屋に二人の男が入室してきた。
「どうも、お久し振りと初めましてですね。どうぞ、まずはそちらにおかけください」
「「っ・・・!」」
憤懣やる方ないといった様子の二人の男・・・だが机の奥側に立っていた射命丸は一切圧された様子もなくにこやかに手前側に用意された椅子に手を出し座るように勧めるのだが、二人は全く苛立ちを隠さないままに椅子に座ることなく揃って机をバンと手で叩く。
「あやや、落ち着いてください。どう言った用件でこちらに来られたのかは聞いていますが、ここ一応は会社の中で貴方達との話に使っていいとは言われてますけど、あまり乱暴にすると他の会社の人が何事なのかって騒ぎになりますよ」
「何言うてんねん!これが落ち着いていられるか!」
「そうです!何て記事を出してくれたんですか!」
「あやや、分かってはいましたがやはりご立腹なようですね」
射命丸はその音にも怯まずに応対をするのだが先に喋り出した関西弁の色黒男・・・通称西の高校生探偵と呼ばれる服部平次と、以前に出会った工藤新一の揃っての怒声と剣幕に予想通りと表情を変えずに口にする。









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