いつかを変えることの代償 後編
「それに比べて工藤君に関してはそれこそ有名人でしたから、私の耳にも当然その活躍は入ってきましたよ。まぁその組織のせいで体を縮ませられ江戸川コナンとして活動していたとまでは知りませんでしたがね」
「そうか・・・まぁそういう形だわな、そんな感じなら」
続けて新一の事について話す高遠の話の中身に、小五郎はだろうと納得する。一般的な視点からならそれくらいが妥当だろうと。
「・・・ちなみに聞くが、オメーからして新一の事はどう思った?明智は金田一って奴とは大分違うってのは聞いたがよ・・・」
そんな時にふと思い付いたと小五郎は新一についての印象を聞いてみる、高遠はどう感じているのかと思い。
「・・・率直に申し上げるなら、彼は金田一君と違って私の平行線になれるような存在ではないと思いました」
「平行線・・・明智が言ってたな。金田一と高遠の関係を高遠自身がそう例えてたって」
「えぇ。金田一君はその思想に姿勢に生き方と、私とはあらゆる意味で交じりあうことがない存在でした。それは遠く離れているようでありながら、時折誰よりも近くにあるような物・・・故に平行線上の存在と例えたのです。ただ金田一君にはそう思えても、工藤君にはそんなものを感じることはありませんでした。理由としては金田一君のように彼と私を結び付けるような縁を感じなかったこともそうですが、どちらかと言えばその性質が金田一君よりも私寄りだということが大きいですね」
「・・・新一がオメーの方に近い、だと?」
高遠は少し考えた後に自身と金田一を評した平行線という言葉を用いた上で自分に近いと言ったことに、どういうことかと小五郎は眉を寄せる。
「工藤君の正義感の様子と私の今の様子を見てではそうは思えないと思われているのでしょうが、私が近いと言っているのは手段に対しての姿勢です」
「・・・手段に対しての姿勢?」
「工藤君が体を縮ませられたという点があること、その組織にバレるようなことは避けるべきだという状況・・・これは多少は致し方ない部分はあったと言えるでしょう。ですがだからと言って人を操って自分の思うがままに事を進めるということは、普通なら許されるような事ではありません。ですが彼はそれを平然と行ってきたということですよね?人を薬を用いて問答無用で眠らせるなど、本来は犯罪行為として認知されてしかるべき行動を」
「っ!・・・確かにそうだな・・・」
すぐに高遠は正義感からの物ではないと訂正して新一の行動の代表例を出し、その中身に小五郎は苦い顔を浮かべる。
・・・人を対象の意思など関係無く、強制的に眠らせる。言葉面だけ取ってみても、あまりいい響きのない言葉と言えるだろう。
小五郎がいる時は小五郎を、いない時は適当な誰かを推理役にして眠らせる形で推理をしてきた新一だが、この行為に関して罪悪感を持ったような事などないと、新一から話を聞いた小五郎は感じていた。おそらくどころかまず間違いなく自分の推理がなければ事件は解決しなかったのだから、別に推理役に仕立て上げるために眠らせたことくらい大したことないだろうと思っていただろう。
だが人を薬で眠らせるという行為が正当化出来るとするなら、精々体を切開する規模の手術くらいなものだ。例え凶悪だったり難解な事件を解決するため、自分が子どもの体だったからと言って人を眠らせるのは傷害事件と取っても何らおかしな事ではない。体を傷付けてはいないという主張もあるだろうが、身体の身動きがきかない状況を強制的に作り出すのだから。
更に言うならばそんな人を一瞬でいて強制的に眠らせる程の麻酔銃を所持すること自体が問題視されても全くおかしくないことなのだ。
麻酔薬自体は阿笠博士が資格を持っているなら別に所持していることに取り扱うことくらいはおかしくはないのだが、当時高校2年生で子どもの姿に戻らされた新一にそんな資格を取る余裕などなかっただろうし取ろうとも思っていなかっただろう。つまりは新一は麻酔銃、それも違法に改造された物を持っていた事は罪を犯しているということだと言えた。
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「そうか・・・まぁそういう形だわな、そんな感じなら」
続けて新一の事について話す高遠の話の中身に、小五郎はだろうと納得する。一般的な視点からならそれくらいが妥当だろうと。
「・・・ちなみに聞くが、オメーからして新一の事はどう思った?明智は金田一って奴とは大分違うってのは聞いたがよ・・・」
そんな時にふと思い付いたと小五郎は新一についての印象を聞いてみる、高遠はどう感じているのかと思い。
「・・・率直に申し上げるなら、彼は金田一君と違って私の平行線になれるような存在ではないと思いました」
「平行線・・・明智が言ってたな。金田一と高遠の関係を高遠自身がそう例えてたって」
「えぇ。金田一君はその思想に姿勢に生き方と、私とはあらゆる意味で交じりあうことがない存在でした。それは遠く離れているようでありながら、時折誰よりも近くにあるような物・・・故に平行線上の存在と例えたのです。ただ金田一君にはそう思えても、工藤君にはそんなものを感じることはありませんでした。理由としては金田一君のように彼と私を結び付けるような縁を感じなかったこともそうですが、どちらかと言えばその性質が金田一君よりも私寄りだということが大きいですね」
「・・・新一がオメーの方に近い、だと?」
高遠は少し考えた後に自身と金田一を評した平行線という言葉を用いた上で自分に近いと言ったことに、どういうことかと小五郎は眉を寄せる。
「工藤君の正義感の様子と私の今の様子を見てではそうは思えないと思われているのでしょうが、私が近いと言っているのは手段に対しての姿勢です」
「・・・手段に対しての姿勢?」
「工藤君が体を縮ませられたという点があること、その組織にバレるようなことは避けるべきだという状況・・・これは多少は致し方ない部分はあったと言えるでしょう。ですがだからと言って人を操って自分の思うがままに事を進めるということは、普通なら許されるような事ではありません。ですが彼はそれを平然と行ってきたということですよね?人を薬を用いて問答無用で眠らせるなど、本来は犯罪行為として認知されてしかるべき行動を」
「っ!・・・確かにそうだな・・・」
すぐに高遠は正義感からの物ではないと訂正して新一の行動の代表例を出し、その中身に小五郎は苦い顔を浮かべる。
・・・人を対象の意思など関係無く、強制的に眠らせる。言葉面だけ取ってみても、あまりいい響きのない言葉と言えるだろう。
小五郎がいる時は小五郎を、いない時は適当な誰かを推理役にして眠らせる形で推理をしてきた新一だが、この行為に関して罪悪感を持ったような事などないと、新一から話を聞いた小五郎は感じていた。おそらくどころかまず間違いなく自分の推理がなければ事件は解決しなかったのだから、別に推理役に仕立て上げるために眠らせたことくらい大したことないだろうと思っていただろう。
だが人を薬で眠らせるという行為が正当化出来るとするなら、精々体を切開する規模の手術くらいなものだ。例え凶悪だったり難解な事件を解決するため、自分が子どもの体だったからと言って人を眠らせるのは傷害事件と取っても何らおかしな事ではない。体を傷付けてはいないという主張もあるだろうが、身体の身動きがきかない状況を強制的に作り出すのだから。
更に言うならばそんな人を一瞬でいて強制的に眠らせる程の麻酔銃を所持すること自体が問題視されても全くおかしくないことなのだ。
麻酔薬自体は阿笠博士が資格を持っているなら別に所持していることに取り扱うことくらいはおかしくはないのだが、当時高校2年生で子どもの姿に戻らされた新一にそんな資格を取る余裕などなかっただろうし取ろうとも思っていなかっただろう。つまりは新一は麻酔銃、それも違法に改造された物を持っていた事は罪を犯しているということだと言えた。
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