真実は一つ・・・と言うが・・・

・・・そうして鬼灯もそうだが座敷わらし達との話と食事を終えた小五郎は地獄の中の自身の住みかへと戻った。






「・・・真実は飾れるものか・・・鬼灯様の言葉が身に染みるぜ。『江戸川コナン』だって新一が自分の真実を嘘で飾るものの中に、俺をあいつは組み込んで飾ってきたんだからな・・・」
・・・そうして部屋のベッドに腰掛けた小五郎は改めて裁判の事を思い返し、憂鬱な表情を浮かべていた。自分という真実を押し隠すため、小五郎を何も言わないまま利用してきたことに。
「ただ、あいつは鬼灯様の言葉で自分のやったことには気付かされて裁かれはしたが・・・犯罪者や悪人だからとかそんなの関係無く、真実を突き付けられる痛みってヤツを知らなかったからあれだけキツいもんだってのは理解してねーんだろうな・・・」
ただそんな風に裁かれはしても、思うようなダメージというか自分が同じ立場に立った時の気持ちは理解出来ていなかっただろうと小五郎は漏らす・・・今まで数えきれない数の事件を解決してきて真実を暴いてきた新一だが、真実を自覚させられ認めざるを得ない状態にされることがどれだけ辛いことか・・・相手の立場に立った上で考えるという状態にまではあの様子では至ってないだろうと。
「まぁそんな風に考えてたら精神的に持たねーし、あんな風だったから平然と事件解決出来るように図太くやれてきたんだろうが・・・もうあいつにとって都合の悪い真実を飾ることも出来ねぇし、逃げることももう出来ねぇ・・・後は精々地獄の責め苦を受けながら考えな。真実は一つだってんなら、今お前が受けてる刑罰がその真実なんだってな・・・!」
・・・実際の所として悪人になりきれないお人好しな小五郎は新一に対して情を捨てきれない部分はある。しかしそれ以上に小五郎は新一を許せないという気持ちがあるからこそ、鬼灯の誘いを受けた。
そこで表情を改めて怒りに染めて新一が罰を受けることへの想いを口にする・・・関係があったからこそ強く後悔し、苦しみを受けてもらいたいと・・・


















・・・地獄の裁判において、現世の地位やしがらみに功績を盾にしても何の意味もない。あるのは善人であろうと悪人であろうと、今までに起こした行動とその罪科を裁くことにある。そこから逃れることは誰にも出来ない。

そしてその中で現代のホームズと呼ばれた人物がいたのだが、生きている時の評価通りであれば極楽行きであっただろう。しかし実際に死んでみれば目を背けていた真実を突き付けられる形で地獄行きとの判決を下され、長い長い時間を地獄の責め苦を受けることになった。

・・・その人物は真実は一つだと、度々言っていた。だが真実は一つではあっても、いくらでも飾れるものである。その人物はそんな飾った真実を暴いてきたつもりだろうが、自身の中の真実を嘘で偽り飾ってしまった。

そしてそんな人物に対して、失望した者達がいるという真実がある事を知らない・・・例え知って話をしたところでより一層の苦心をすることになるだろうが、ある意味ではそんな未来を知らないままでいられる方がまだいいだろう事など考えもしないだろうが・・・もうそれはどうでもいいことであった。少なくとも地獄の住民達にとっては。









END









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