真実は一つ・・・と言うが・・・

「ただもう工藤新一に関してはこれで終わりです。後貴方の関係者で残っているのは娘の蘭さんと園子さんになりますが、彼女達が死んだなら裁判の様子は見ますか?」
「いや、大丈夫です。この数十年で知り合いの裁判は何回も見てきましたけど、もういいです。それに園子はまだしも、蘭はちょっと新一の事を聞いたらどうなるか分からないのが不安ですからね」
「まぁ彼女の性格や彼への傾倒ぶりを考えたら、彼の事は話さない方がいいでしょうね。今はもう老人と呼べる年齢で暴れだされてもすぐに取り押さえることは出来ますが、金切り声を上げて色々と言い出すのは目に見えています。ですから彼の事もそうですが、貴方の事も獄卒にならないかも言わず聞かずで済ませますよ・・・そもそも彼女は大学を出ると同時に彼と結婚して、まともに就職した経験もありませんからね。ちゃんと獄卒として働けるとは思えません」
「俺もそう思いますから、蘭が来たら俺の事は気にせず裁判をしてください。もう新一を許せない俺と、話を聞いたら新一には事情があったんだから今更じゃないって言い出しかねない蘭じゃ合わないのは分かってますから」
「分かりました、そうさせていただきます」
そんな新一の話題を切り上げ次は蘭についてを話していく二人だが、もう蘭の事についてを吹っ切ったように軽い笑みを浮かばせる小五郎に鬼灯も無表情ながらもそうすると頷く。






・・・蘭は組織の件では最後辺りでは関わることにはなったが、小五郎の件は一切蘭には本当の事は話されていない。何故なら話せば蘭が新一やら周りに色々と当たりかねなかった事に、赤井達から組織の事を含め事実を明かさないようにと言われたからだ。

だから蘭には小五郎の真実は言わないままに組織の壊滅を成し遂げ、小五郎の葬式を終わらせて新一は蘭と何も言わないままに向き合ってきたのだが・・・そうして何も言わないまま蘭と平然と結婚したことが、小五郎にとって新一を許せないと思える一因となったのだ。

だが更に今となって言えることとして、蘭が今事実を知ったなら新一の事を庇う側に回る可能性が高いのではと小五郎自身感じてしまったのだ。確かにお父さんを死なせてしまったのはどうかと思いはしたけれど、それでも新一の事は愛しているしお父さんもあの世にいたんならどれだけ事件を解決して役に立ってきたか分かるでしょ・・・と言ったようにだ。

そうなったなら小五郎は蘭を許すような気になれなかっただろう・・・いくら綺麗事を並べられようと新一自身は小五郎を殺した事実から目を背け、ずっとそれから何も考えることなかった。この事は当事者である小五郎からすればとても許せる筈などないが、あくまで蘭は言い方は悪いが家族ではあっても当事者ではなく端から見ただけの人物であり更に新一よりの考え方をしている・・・絶対にそうなると限った訳ではないが、もしそうなったなら新一だけでなく蘭のことも許せなくっていたのは確かだと小五郎は感じていた。

だから蘭については敢えて考えることを放棄することにした・・・今この場にはいないが、経緯は違ってもちゃんと獄卒としてスカウトされて再会した安室改め降谷や英理も同じような考えを抱いた上でそうした方がいいと言ってそうする形でだ。でなければ蘭についてを苦心するようになっていただろうことを自覚していただろう為にだ・・・









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