真実は一つ・・・と言うが・・・

「・・・と言っても今言葉でいくら言った所で、貴方は認めたくないのでしょう。自分が人を殺した、それも毛利さんが死んだなどと・・・ですのでこちらの浄坡璃の鏡を見ていただきます」
「・・・その鏡は・・・」
「貴方が浄坡璃の鏡についてを知ってるかは知りませんが、この鏡は過去に何が起きたのかを見たい映像の場面を写し出します。まぁ見ていてください」
そんな厳しい目付きから鬼灯は物陰から鏡を取り出しどういうものかを説明した上で鏡を弄り、写し出された映像を新一に向ける。
『・・・じゃあ俺は新一に殺された、と言うような物なんですか・・・』
『はい、そうなります』
「なっ・・・お、おっちゃん・・・それにあの鏡に写し出されてるのは、俺が麻酔を撃ち込んだ時の・・・!?」
・・・そこに写りこんだ映像は死に装束を身にまとった小五郎と鬼灯と閻魔大王三人の姿に、鏡の中に写し出される浄波瑠の鏡の中で『江戸川コナン』・・・小さくなった新一が麻酔銃で小五郎を狙う場面が写し出されていた。そして小五郎がその光景に絶句している様子も。
「この鏡の効果については今説明した通りですが、この巻物は死んだ者達の全てがここに書かれていて死因もまた当然書かれています・・・その中で毛利さんが死因を聞いて驚かれていたようなので、その瞬間を見せて差し上げたんですよ。死んだことにすら気付かなかったり死んだのは理解はしていてもどうなって死んだのか分からないまま地獄に来る方も珍しくなく、そういった方に説明する為にこの鏡を使うことも珍しくないのでね」
「っ・・・そ、そんなものがあるなんて・・・」
「忘れているかもしれませんが、ここは地獄で私は鬼でこちらの方は閻魔大王になり他にも現世ではお目にかかれないような存在も多々います。こんな技術なんてあるわけないと言いたいのかもしれませんが、そういった超常的な存在だったり技術はそもそもこちらの分領です。現世で存在しないから嘘だなんて科学で否定されたことは否定するなんて話になるなら、そもそも貴方がこうしてここに意識を持って存在していること自体がおかしなことですよ」
「っ・・・!」
鬼灯は鏡の縁に手を置きながら小五郎の事とこれが必要な訳と嘘ではないと強調し、新一はそれらに押し黙るしかなかった・・・今現在死んだと認識してはいるが、元々地獄だったり非科学的な存在などないと考えてきたのが現実にはあったのだと知り・・・浄坡璃の鏡のことも単なる出来のいい作り物ではないのだと考えてしまった為に。
「・・・では続きです」
『・・・江戸川コナン改め、工藤新一が貴方を殺した・・・という認識には当人はなっていません。あくまで当人は自分が殺したんじゃなく、組織が殺して俺は関係無いの一点張りです。今まで散々麻酔を使って貴方を眠らせ、探偵役として利用してきたのにも関わらずそれらの積み重ねが貴方を殺した・・・という考えに至ることなくです』
『・・・俺は、そんなやつの為に死んだってのか・・・散々人の事を利用するだけしておいて、散々事件に出会って自分は悪くないだとか抜かすような奴を何人も見てきたはずなのにいざ自分がその立場に立ってみれば、そんな奴らと同じ事を言うってのかよ・・・!』
「っ!!」
鬼灯はそこから続きを再び見せるように鏡を操作していくのだが、その映像の中で盛大な怒りを滲ませ拳を握りこむ小五郎の姿に新一は悲痛な表情を浮かべ手を胸に当てた・・・小五郎の言葉が効いたこともあるが、その怒りがどれだけ凄まじいかを感じて。









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