・・・そうして英理も巻き込んだ上で警視庁に新一と毛利家を呼ぶことが出来た二人だが、半兵衛が言ったように親とカップルで分けた上で親の方に半兵衛がついてカップルに官兵衛がついたことは間違いではなかった。英理に関しては特にだ。

なら何故そんなことを言うのかと言えば、これまた半兵衛が言ったように半兵衛の事を英理がなめてかかったことが大きかった・・・英理は弁護士という仕事柄もあるが、基本的に真面目に態度も言動も飾って取り繕う場にいる。そんな英理は堅苦しい口調で引き締めた表情には慣れてはいても、半兵衛のように飄々としていて表情が豊かな人物はそうそうはいない。精々不敵な宣戦布告だとか、表向き程度に取り繕う笑みを見せるくらいだ。

そんな風に表面上も油断ならないやり取りばかりを繰り広げていた英理からすれば半兵衛の緩い態度に発言は与しやすしと思ったのだろうが、裁判の場と違って比喩や誇張など一切ない命のやり取りを常としていた戦場において名を馳せた半兵衛がそんな甘い人物な訳はない。飄々としたその表情に態度は確かに素と言った部分ではあるが、同時に本音だったり様々な物を隠すための隠れ蓑でもある。

最初はそんな半兵衛の態度をなめていた英理は威圧的に事を進めようとしていたが、表情と話をコロコロと変えていく半兵衛の話についにと英理は法廷での時の姿など影も形もないままにペースを取られて終わる形で言いくるめられてしまった。これが官兵衛が相手だったならそれこそ初対面の印象に監察官という身分から英理は何か言われたなら言い返そうと身構え、動いていただろう・・・それで官兵衛に英理が敵っていたかどうかは置いておいてだ。

・・・そう言ったように英理と小五郎の二人相手に新一と蘭の事を別れ話についても添える形で言った半兵衛だが、それを官兵衛が新一達の方に言わなかったのは官兵衛がそういう事を言うタイプではなかったからではない。敢えて新一達に言わなかっただけである。

なら何故言わなかったのかと言えば、新一はまだ百歩譲って頷くといった結果になるかもしれないが蘭はまず間違いなく意地になって新一とは別れないと言い出すのが目に見えていたからだ。半兵衛に官兵衛に小五郎に英理と二人の交際を阻もうとしているのに加えて、新一までそうしようとなったら・・・周り全てが敵であり新一の心が折れようとしているなら、自分以外に頑張る人はいないんだから自分は新一とうまくやれるんだと見せれるように張り切り、別れを選ぶつもりはないだろうと。

二人は別に一途な愛を悪いと言うつもりはないし、貞淑な女性を悪いと言うつもりもない。だが蘭の場合は一途と言うより、意地になるだけに近いと二人は見ていた。心理として例えて言うならいわゆるあの人止めておいた方がいいよと言った声に対し、私なら大丈夫だしどうにか出来るといったダメ男に尽くす女といった構図に近いと。

だがこの問題に関しては新一を単にどうにかすればいいというものではなく、蘭もどうにかすることが大事なのだ。下手に新一と一緒にいても大丈夫だったり自分なら何とかなるなどと思われても、事故が起きてしまえばそれこそ元も子もないしそうならない保証もない。

故に敢えて官兵衛には単純に新一の事に加えて蘭が起こしうる問題についての危惧を伝えさせ、半兵衛には親二人に別れさせることについてを考慮するよう言うようにと分けたのだ。器物損壊と新一と別れることについて一緒に言うともうそんなことならどちらも大丈夫なようにすると妙な意地を張りかねない危険があったことから、事故が起きれば人の命を奪いかねない危険性についてを深く認識してもらってそこから新一と別れることについてを小五郎と英理に言ってもらった方が、段階を踏んでいることから新一と別れることについてを少なくとも意地だけで否定するには難しい状況になるだろうと。









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