変わらないままではいられない、変わらずいてはいけない

・・・そう、爆弾とは『江戸川家』の事である。二人は『江戸川コナン』が事件に関わってこなくなった事を不審に思い、個人的に色々と調べていった。色々と怪しいことが多すぎて、ただ放置というのも二人からしてもあまり気持ちが良くなかった為に。

しかし二人が調べれば調べるほどに出てきたのは、毛利家から出て以降の『江戸川コナン』の足取りが全く出てこないという物だった。国外に出たのかと疑いもしたが、そういった渡航記録など一切無かったのだ。

その事に二人はまた一層『江戸川家』の事を怪しんだのだが、もうこの様子だと次に会うこともないだろうし次があったらその時に正体を暴くことにしようと決めたのだが・・・そうしてしばらくして次に問題となったのは、米花町に戻ってきた新一である。

再び戻ってきた新一がどのような活動をしてきたかは二人はよく知っているし、それがどれだけ警察の上層部にとって面倒だったかは半兵衛に新一の事をどうにかするように言った時の面々の表情や言葉によって良く感じていた。前に優作や新一達の事を目暮班や一部以外が気に入ってないと小五郎達に言ったことがあるが、新一が再び戻ってくるばかりか事件を自分勝手に解決した上でマスコミに自分が事件を解決したんだとドヤ顔を見せて真相を語るその姿の事を考えれば、不機嫌になるのは分かるだろう。

そんな風に上層部がなっているのに、ここで二人しか知らないとは言え正体不明の『江戸川家』と関わっている新一を警察に引き込むか・・・そう考えた時、もしもの事を思えば警察に入れるような流れにしたくないと半兵衛が思い、官兵衛がそれに頷くのは必然と言えた。新一を引き込むことは『江戸川家』という存在不明の者達の手を入れることになりかねないことに加えて、新一が警察の人間として忠実に動いてくれるとも思えなかった為にだ。

特に忠実に警察の人間として従ってくれないだろうという点に関しては、注意してもそうするだろうという確信を抱いていた。警察を欺いてまで自分で行動して推理を行い、そして満足げで自信満々の様子を見せる・・・そんな表情をマスコミの載せた写真から何度も見てきた二人からすれば、例え警察に入ったとしても似たようなことを起こすだろうと考えるのも当然だ。

だが元来警察とは一般人からすれば事件と相対することは当然の役割を担っている上で、その解決の為の存在だと思われている。そこで事件を解決したからとキメ顔でマスコミの前に現れ、事件の経緯はこうでこうやって事件を解決しました・・・なんて風な態度で発表する警察なんて存在しない。毅然と、それでいて冷静に対応するのが本来の警察の在り方だ。

だがもし新一が警察に入ったなら確実にそういったことをするであろうし、マスコミはこぞってそんな新一に事件の真相を話してほしいと願うことだろう。しかしそんなことをすればするほどにこのご時世では不謹慎だと叫ぶ者は確実に出てくる上に、謎を解けばそれで終わりな気持ちでいる今の新一のような感じでは警察はいられないというかいさせてはならない。

いくら事実を明らかにしたくても守らなければならない、またはこれについて言わないでほしいからそれは守ってもらいたいと願われる守秘義務というものがある・・・他にも色々と警察という立場から来る制約が多いが、新一が自分はこの事を言いたいから言うだけ言って後始末はしないしその苦労については知らないといった様子になるのは想像に難くない。そしてもしその苦労についてを知っても、自分が事件を解決して他がその後始末をするんだからそれでいいんじゃないかと楽天的な答えを返し、その対応を実際にさせてみせなければ理解しないだろうが新一にそうするつもりはないだろう。自分は事件を解決する立場にあってこそだと思うからこそ、そういった地味でいて見映えのしないことは自分のやることではないと言葉にしないながらも内心のどこかで思う形でだ。

・・・『江戸川家』の事もそうだが、警察に入っても厄介にしかならないのは二人の目に見えている。その上で今後の新一の活動も制限をかけねばならない・・・故に二人は新一もそうだが蘭への注意をする場を利用することにしたのだ。新一の活動の制限及び、以降の行動の誘導の為に。









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