変わらないままではいられない、変わらずいてはいけない

・・・そして降谷は意気消沈となっていた新一に何かあれば話は聞くくらいはするから、自分一人で思い詰めることのないようにと言った後に電話を終えた。



「・・・まさかあんなことを新一君が言われてたなんてな・・・」
手にある電話を眺めながら降谷は疲れたような顔を浮かべ、先程の事を思い返す。新一から聞いた話のことを。
「・・・正直、俺自身あの二人が事実を知っているかどうか疑わざるを得ない状況だ・・・だがあの二人のことは俺としてもあまりつつきたくはない・・・それこそ何も組織のことについて知らなかったなら事が事になるし、何より詳細を二人が知ったなら新一君だけじゃなく俺もどうなるかなんて想像したくない・・・」
そうして降谷は二人についてを触れたくないと、自身の気持ちや立場から苦く漏らす・・・自分だけが決めたわけではないにしても戦力になるからと新一を組織との戦いに加えることにした降谷だが、公安という警察の中でも特殊な立場にいても一般人を巻き込み捜査に加えることにした経緯の事を考えると、今までの流れから自分も二人にどう言われるかが恐ろしくなったために。
「・・・ただ探偵として事件の捜査に解決をしたいなら外国に行く方がいいと二人は言ったようだが、それが事件に関わらせない為の方便なのか善意からなのか・・・どちらなのか、どちらもなのか分からないな・・・」
そんな風に考えていく中で降谷は二人が外国行きを進めた理由はどちらかなのかと呟くものの、その答えは出てこなかった。話に聞いただけで実際に会ってないのもあるが、どう言った気持ちや考えで二人が新一に外国行きを勧めたのかが分からず・・・


















・・・そんな降谷が悩む中、所変わって監察官として与えられている官兵衛の部屋に二人はいて、机の椅子に座る官兵衛に対しその前に立つ半兵衛は気楽そうに両手を後頭部辺りで組む構えで問いを向ける。
「どうだったの、上層部の反応は?」
「いささか残念だが、警察に入る気はない事を譲るつもりはないのなら仕方無いと言っていた。この辺りは向こうも受け入れてくれるならいいといった程度に考えていたのであろうから、あまり残念がっているようには見えなかったな」
「そりゃそうでしょ~。工藤君には初めて会ったけど、あれが大人しく警察の言う通りになるわけないのは見てて分かったし、何より自分は探偵だ~って気持ちを捨てる気なんて有り得るとは思えないしね」
「こちらの言い分を受けていたらいたでむしろ上層部はあまり良くない気持ちを抱いていたであろうな。いつ言うことを聞かない状態になって暴走するか分からない、そんな爆弾を抱えたような状況に陥りたくはないのだろう。かくいう我らもそう思ったからこそあのように遠回りでいて大掛かりなこと・・・そして我らなりに行動をさせてもらったのだがな」
「というか俺達をこきつかいすぎだよね~。工藤新一に毛利蘭の件の解決を君達に任せたいってさ~。と言っても官兵衛さんはあと乗っかり組って感じで俺と共同で動くことになったのはちょっと意外だったけどさ」
「上からの意向だったからな。とは言え卿の手間が幾分か省けたことは否定は出来んだろう」
「まぁそれは実際ありがたかったよ、ホント。多分官兵衛さんの協力がなかったら今頃クタクタになってただろうしね~」
そこで二人は二人らしく軽妙に会話を交わしていく。先程のやり取りに加えて、どういう経緯から部署が違う二人が協力したのかについてを。









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