変わらないままではいられない、変わらずいてはいけない

・・・降谷が言ったが組織の事に関しては表沙汰にしないと共に、関係者以外には絶対に他言しないようにという取り決めが行われていた。そしてそれは新一も了解をしたというより、了解をせざるを得なかった・・・何故なら新一の場合は組織により体を小さくされたことがバレれば、様々な障害が起きる可能性があったからだ。

一応組織と戦う際にはどこの機関にも所属していない協力者という立場に新一は都合よくなれたが、あくまでもそういったことから新一の立場はどこにも所属していない一般人の立場でしかなくどこの機関も助けを出すような義理はない。一応は降谷に赤井達は個人的な付き合いはあるが、あくまで個人レベルだ。いついかなる時でも助けに来られる程社会人・・・それも裏社会に近いアンダーな所で活動している者達が、新一の窮地にすぐ手助け出来るような暇など普通ならあるはずない。

そしてそんな手助けをいつでも求められない新一が晒される問題が何かと言えば、組織以外の裏社会の人間にその身を狙われることもだがマスコミから話を聞きたいとしつこくせがまれることになるのは目に見えていることである・・・組織と争ってきた機関は公安を始めとして表沙汰にしてはならない名前や顔や行動など山程にあり、説明出来ない事もまた山程ある。

そんな中で都合のいい部分だけを話してマスコミが納得するかと言えば、そんなことはないのは目に見えていて新一に真相を明かしてもらおうとしつこく付きまとってくるだろう。ならばいっそ話をしない方が都合のいい部分だけの説明などしなくて済むという話になり、同時にFBIを始めとした他の機関とも何事もトラブルが起きないことに繋がることになる。

マスコミ一つ取ってもこれだけ面倒になるのに、下手に情報を漏らせばどうなるのか・・・これにはさしもの新一も自分が面倒になるような事は避けたかった為にマスコミに言いたいことだけ言って終わらせるなんて選択をしなかったが、そういったことがあるために二人に事情を知っているかを聞くだけで情報漏洩になると聞かされれば新一が二の足を踏むのもある意味当然と言えた。

・・・尚余談であるが事情を知っていて新一の体と自身の体を元に戻した灰原改め宮野は、CIAに保護を求める形で表舞台から消えると共に新一に赤井という人物から離れることを選んだ。元々新一に関しては以前の半兵衛の件から距離感が広がっていたし、赤井という人物は姉と関係していて妙に気遣うというか気にかけてくるのがあまり心地よくなかった為に、二人と関係の薄いCIAに行く方がマシだと思う形でだ。






「だからこの事に関しては二人にこれ以上話すのは望まれない・・・もし事実を知っていたなら僕を始めとした公安が動いていることから二人は自分達は敢えて何も知らないという体を取っていることは考えられるし、何も知らなかったならそれこそ大惨事にしかならないだろう・・・君からすればどうなのかと問い質したい所だろうしこういう事情があったと言いたいかもしれないが、これ以上虎の尾を踏むことは君も避けたいだろうし僕も君に問題を起こしてほしくないと思っている・・・それが分かるのなら不満やら色々あるだろうがここでもう引いてくれ、新一君。君に何かあっても今までの話を聞いた限り、僕は何も出来ないだろうからね」
『・・・・・・分かり、ました・・・これからはもう、大人しくするようにします・・・』
そうしてもう二人への行動や不満をぶつけたいとする気持ちを真剣になだめるように言う降谷に、とうとう新一は力なく了解を返す以外に選択は残っていなかった。最早わがままを言ってどうこう出来る範囲などとうに越えてしまっている領域に入っていることを、いやが上にでも理解させられる形で・・・









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