変わらないままではいられない、変わらずいてはいけない

「一応言わせてもらうが、あくまでも条件付きでそれが守れるならという仮定の上でこちらはそう言っていると認識してもらいたい・・・君が事件に出会う頻度の多さに、それらの事件を解決するための能力があること。これらを考えればいっそ特例を出してしまった方がいいのではないかという上の判断があってこう言っているのだ」
「な・・・じゃ、じゃあさっきの話は何だったんですか・・・!?」
「それは君がその条件を飲めなかった場合の処置であると共に、蘭さんにも責任があることと君の自覚を促す為だ。特に蘭さんに関してはそれこそいずれ不幸な事故が起きてもおかしくないと見てね」
「っ・・・!」
だがそんなに甘くはないと告げていく官兵衛に新一はさっきの話の意味について聞くが、返された理由の蘭の部分にまた言葉を失う。蘭についての可能性を思い返すと確かに安堵出来るような物ではないと感じて。
「今の様子から君は事件の解決をしたいと願っているのは分かったが、守ってもらいたい条件のまず一つは事件に関わったことや詳細の一切を報道機関に話さないこと及び宣伝をしないことだ」
「・・・それは・・・」
「先程話したであろう。君がこうして戻ってきてからの活動で事件を解決した後に我々が来ることが、警察が君が活動する際の後片付けをするための組織というように揶揄する報道機関がいるということは。そして君はそんな報道機関に対して自分が事件を解決したというように自信満々に振る舞っているが、これも前に竹中警視が話したが警察が一般人を頼りにしているといったような風に捉えられる事になりかねん。だから折衷案として君が事件解決をするために動くのを認める代わりに、君は報道機関に顔を出さないし事件の事について何も言わずに黙秘をすることを条件とするということだ。これは分かるかね?」
「・・・はい、それは・・・俺も警察に迷惑をかけたい訳ではないですから、言いたいことは分かります・・・」
官兵衛はその姿を見てからまず条件の一つとして上げられた様々な情報の秘匿についてを理由つきで告げると、新一は重く理解出来ると漏らすが同時にどこか不満そうな響きを浮かべる。






・・・新一が浮かない様子なのは事件が起きたならその全容についてを明らかにしたいという気持ちもあるが、探偵としての承認欲求に加えて天性の目立ちたがり屋という特性があるからである。

流石に組織の事に関しては様々な事から言わない方がいいというように考えたが、基本的に新一は誰かに自分の手柄を手柄と認めて誉めてもらいたいと思っている。探偵はヒーローのような存在であり、自分もそういった存在になりたいと思っているが為にだ。

そしてそんな承認欲求を満たすのに手っ取り早いというか分かりやすい手段がマスコミの前に立つことである・・・事件を解決したとなればマスコミはその事実を様々な媒体を持って一気に世に流し、人々はそんな新一という探偵を褒め称える。そういった流れを目立つことが好きな新一は前から好きだったが、二人の言葉通りにすればそんな承認欲求を満たすようなことは出来なくなる・・・その事を考えて新一は浮かない様子になったのだ。そしてそういった効果を見越した上で、まだ策を残しているのが両兵衛の二人なのである。









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