変わらないままではいられない、変わらずいてはいけない

「・・・それでだが、君達をこうして二人と離して話をしようということになったのは何故かだが・・・まずは事実確認を行うためだ」
「事実、確認・・・?」
そんな新一がやりづらさを感じながらも官兵衛が話を続ける中、事実確認との言葉に蘭が眉を寄せる。
「代表的なところで言えば、工藤君が警察に通報を遅れてしているという件だ。以前からそうではないかと噂をされていたが、これは蘭さんは見たことか思い当たる節はあるかね?」
「な、なんで私に・・・?」
「このような時は誤魔化しや嘘をつく可能性の高い本人に聞くのではなく、周囲の証言者から聞くのが定石だ。と言うより普通に考えて嘘をついている節のある相手に嘘をついていないかなど聞く以前に、普通に考えれば嘘をつかれるだろうと身構える物だ」
「・・・っ!」
官兵衛はそこで連絡を遅らせている事についてを聞き、蘭に聞く理由を述べるとたまらず新一は顔を苦そうにしかめる・・・いくら取り繕おうとも自分が推理をしたいという気持ちから連絡を遅らせ、嘘をついていたという事実に間違いはなかった為に。
「それで、どうかね?」
「・・・正直に言わせてもらうと、そういった事をしてるんじゃないかって風に思ったことは何回もありました・・・前だったら私に警察に電話をしろって言って現場を調べてたのに自分で連絡するからって言ってたし、事件の謎が解けてから隠れて電話していたのを何回か見てたからどういうことなのかなって思ってたんですけど、何より警察の人達が事件の解決以降にしか来ないくらいに遅くなってたのはどうしてなのかなって・・・」
「成程、蘭さんも違和感を感じていたということですか・・・」
「・・・っ!」
その上で官兵衛が蘭に問い掛け戸惑いつつも正直に違和感を感じていたと返したことに呆れたような声を漏らし、新一は自身の行動がほぼバレたようなものになったことに冷や汗を浮かべた・・・推理を自分で行うために思い浮かんだ反則同然の考えが明らかになったことに、目の前の官兵衛からどういったことを言われるのかという不安を感じ。
「・・・工藤君、君は分かっているのかね?君の判断はとても一般人がやっていいと思われるような物ではないことは?それに先程も言ったがいかに正当防衛という形で収まっているとはいえ、暴れた犯人との争いで壊れた物品などの損害に関してはもう人命が救われたならと看過出来るような額ではなくなっている。まだ警察がいる中で犯人が暴れたなら致し方無いと言えるかもしれぬが、自分でそのようなことをしておいて警察が被害額も含めて君達の尻拭いのように後始末と修理費用などを負担することになる・・・今の蘭さんの発言からほぼ君は警察に連絡するのを遅らせていただろう事は確実だが、今後似たようなことが起きれば君や蘭さんに物品被害の費用及び犯人を傷付けた際の治療費を請求するように手続きを取ることもこちらは考えていると伝えさせてもらおう」
「「なっ・・・!?」」
官兵衛はそんな新一を見据えながら話を進めるのだが、その中身に蘭共々絶句する事になった。以降の物品の被害費用プラス治療費に関してを全て負担という、先程見たリストだけでもあまりにも高額の金額があった事からどれだけキツいことなのか・・・それを否応なしに理解した為に。
「君からすれば早期の事件解決の為に尽力しているのにといった気持ちになっていることだろう・・・しかし事件が起きたからその解決の為にと警察の指揮下の元に入っていない状況で起きたことに関して、勝手に一般人がやったことを正当化することは望ましいことではない。故にこれまでのことは過去の事件として処理はするが、これからも似たようなことが起きれば起きた事件は起きた事件として処理はするが、君達が起こした事についてはまた別の案件・・・例え正当防衛であっても別の事件として処理をさせてもらい、その被害金額は君達に請求するということだ」
「そっ、そんな・・・!」
「・・・自分は不満を言えるような立場だと思っているのかね、君は?」
「っ・・・!」
しかし官兵衛が許す気を見せるつもりは一切ないといった言葉を発する様子に新一は訴えたそうな表情と声を上げるが、一段と鋭く重いプレッシャーを向けられ言葉を詰まらせる。明らかに圧されているという様子を隠せず。









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