変わらないままではいられない、変わらずいてはいけない

「事件に出会うことを悪いと言っている訳じゃありません。そういった星の元に生まれただとか巡り合わせがあったからとか、運が絡むことに関しては流石にどうとも言いようがありませんし・・・でもそうして事件に出会って彼らが取る行動が今問題になってますが、その中で蘭さんの問題が何かと言えば現状では器物破損にあります」
「・・・器物破損・・・現状では・・・?」
半兵衛はそんな二人に蘭の問題点についてを挙げるのだが、器物破損よりも現状と頭につけられた方に英理は疑問を寄せる。どうしてそんな風に言うのかと。
「現状って言ったことに関してはすぐに説明しますけど、取りあえずはこの紙を見てください・・・今まで新一君と共にいた蘭さんが関わった事件の中で、蘭さんが損壊させて壊した物の数々です」
「・・・っ!?これは・・・!」
「これ、本当に蘭が・・・!?」
「はい、それは間違いありません。事件が起こった後の調べで現場の物が壊れていて、修理だったり交換でどれだけかかったのかのリストになります」
「「っ・・・!」」
そこで半兵衛は横に置いていたバッグの中から紙の束を取り出し中身はどういうものかの説明をすると、二人は共に紙を見ながら愕然とした表情を浮かべた。そのリストの中身もそうだが、そこのまとめの部分にある金額の桁が普通に見ても大金であることに。
「一応言っておきますが、蘭さんが悪意を持って物品を壊したりしているわけではないとは我々も彼女の人柄からそうだと知ってはいます。正当防衛の類いであって、やむなしに事件が起きた際に動いていることは・・・ですが正当防衛であるにしてもこれだけの物品が損害に会っていることを考えると、流石にもう目を瞑る訳にもいかないと思って話をするために警視庁に来てもらったんです」
「な、なんでここまでの事が・・・」
「・・・新一君と共に事件に関わっているからです。とは言え最近は特にって言うか、事件が起きると新一君達は警察に連絡はしてはくれるんですが・・・警察が来る前になんとか事件がどういう理由で起きたかにその謎を解明するために動き、そこで一悶着を起こして犯人の鎮圧をして警察に引き渡すというのが流れになってるんですが・・・警察がいない状況で人を殺すような人物が、一介の高校生達に自分の罪を明かされて大人しくしろと言われてその通りにする人ばかりだと思いますか?」
「「っ・・・!」」
「・・・そうです。大人しくする人もいないことはなかったんですが、大抵の人はそこで抵抗して一悶着を起こして蘭さんがそれを鎮圧して周りに被害をもたらす・・・と言うのが通例になっているんですよ。そのおかげで警察なんていなくていいんじゃないかと言われることもそうですけど、彼らの後片付けをしに来る業者みたいな風に一部のマスコミに言われることもあるんです・・・」
「「っ・・・」」
そこで話をしつつ明らかにタメ息を吐きそうな疲れた表情を浮かばせる半兵衛の姿に、二人はたまらず息を呑んでしまった。半兵衛のキャラ的に飄々とそういったことを受け流しそうなものなのにそれが出来ないほど追い詰められていると分かることもそうだが、何よりその中身があまりにも警察に対して酷すぎる物であった事に蘭と新一がその原因であると知らされた為に。









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