変わらないままではいられない、変わらずいてはいけない

・・・『江戸川コナン』として雌伏して、自身を小さくしていた組織を潰そうと動いていた工藤新一。しかしその目論見は現代に蘇った警察の両兵衛により、雌伏に最適だと思っていた場所から立ち去らざるを得なくなった。

しかしそんな工藤新一は持ち前の悪運の強さによ自分を小さくした組織と徐々にではあるが対峙していき、様々な者達の手助けを受けながら数ヵ月後には遂に組織の壊滅をやり遂げて元の体に戻ることが出来た。

・・・これはそんな工藤新一とその周りを取り巻く環境と、両兵衛を始めとした人々の後日談の話である・・・


















「・・・成程、君の言いたいことはよく分かった。君が以前にやっていたよう、事件にどうにか関われるように僕から取り成してほしいと願っていることは」
「はい・・・竹中警視の言っていたことは分からない訳じゃありません。でもそれだとこれから俺が探偵として活動しにくくなるんです・・・こうして元の体に戻れたのに、警察が俺の活動を認めてくれないんじゃあどうにも・・・」
・・・場所は工藤邸のリビングで、二人の男性が対峙していた。
そこで元の体に戻った新一は目の前にいる降谷という組織を壊滅させる際に知り合った、公安所属の男に頭を下げていた。自分が再び前のように探偵として事件に関われるよう、公安という立場にいる降谷に口添えを願えないかと。
「・・・生憎だがそれは無理だろう」
「なっ・・・無理だろうってどういうことなんですか!?」
しかし降谷が首を横に振り出来ないだろうと口にしたことに、すぐさま新一は何故と頭を勢いよく上げた。無理と断定形で言っていないこともあり。
「警察の上の決定がどのような物かを聞いた上で僕が君に助け船を出せるような中身ではないと思ったのもあるが、何より僕がそうしようとしても相手が悪いと言わざるを得ないからさ」
「相手って・・・」
「君や毛利さん達が会ったという竹中警視のことだよ。僕は公安という立場上、警察として公には活動はしにくいがそれでもその立場上警察の中の話について色々と耳に入ってくる・・・そんな中でも竹中警視にその幼馴染みである黒田監察官の二人は、警察組織内でもトップクラスの能力を持っているとよく僕らの中でも噂を耳にしてきた。そしてそんな二人はその名字と関係性から現代に蘇った警察の両兵衛、と言った異名をつけられている」
「警察の両兵衛・・・」
降谷はそうなる理由は相手が悪いからと半兵衛だけでなく官兵衛の事も持ち出し、その異名に新一はその言葉を反芻する。半兵衛もそうだが、官兵衛にもそれだけの異名がついているのかというよう。
「そんな両兵衛と呼ばれる二人だが、伝え聞く噂だけでもどれだけ二人が優秀であるかに警察の在り方を考えているかについては僕も聞き及んでいる。正直、二人の事は僕も尊敬しているくらいだが・・・だからこそそういった噂話から判断するだけでも、竹中警視が君の探偵としての事件現場への顔出しに口出しを歓迎するとは思えないし決定を覆すとも僕は思っていない。というか竹中警視を説得出来たとしても、警察の上層部が君や竹中警視の言葉でならそれでと意見を翻すとも思わない・・・何故なら警察の上層部から元々は発信された言葉なんだからね。君達の行動について、問題視される形でだ」
「っ!」
だが問題は半兵衛だけにではなく警察の上の意向にもあると告げる降谷に、新一はたまらず息を呑んだ。そもそもの問題は半兵衛からではなく、警察の考えからなのだと言われ。









.
2/29ページ
スキ