元世界最高の探偵が物語に加わ・・・らないだけの話

「・・・毛利さんについては心残りはありますが、もう明日にでもさっさとアメリカに戻りますか。新一だけならまだもう少しは家にいることも考えましたが、あんな風に他人にいられてはゆっくり出来ませんしね」
そして頼人はもう帰ることを口にして、また甘味に手を伸ばす。新一達に、ましてや誰とも知れない存在と時間を共にする気になれないと。


















「・・・え?頼人はもう帰った?」
『あぁ。と言うより一度家に戻った後は家に戻ってくることはなかったと連絡が彼から入ってきた。その上で電話で頼人にどうして早く帰ったのかと聞いたのだが、住むところがない人を帰ると言っていなかった自分が少しの間でも追い出すのは気が引けると言っていた。だから家でゆっくりすると選択出来なかったことから、アメリカに早く帰ると決めたと言っていたよ』
「そうか・・・頼人に気を使わせてしまったな・・・」
・・・それで三日後、夜の探偵事務所で優作からの連絡の電話を受けた新一は頼人がもうアメリカに戻ったことに複雑そうな表情を浮かべる。自分達の行動で頼人に迷惑をかけたことに。
『まぁ頼人には申し訳無くは思うが、もう用がなければしばらくは日本には帰ることはないと言っていた。これで頼人が巻き込まれるような事態になるのは避けられるだろう』
「あぁ・・・折角大学を出たってのに、頼人を危険に晒す訳にはいかないしな・・・!」
しかし優作から次はしばらく帰ってこないと聞いて、新一はやる気をみなぎらせる。自分を小さくした組織との対決に巻き込まなくて済むと・・・だが事実は違う。頼人は何も知らずに離れているのではなく、敢えて何かあると把握した上で工藤家から離れている・・・そして以降も新一達は知ることはないだろう。頼人に前世があり、その前世で世界最高の探偵と呼ばれていて頼人がいたなら組織の壊滅は今より遥かに容易になっていただろうことを・・・









END









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