元世界最高の探偵が物語に加わ・・・らないだけの話

・・・そういった小五郎からの話に頼人の中で『江戸川コナン』のイメージは、小さくなった新一と言った物になっていった。そして話を聞く限りではその『江戸川コナン』が何らかの手段・・・率直に言ってしまうなら麻酔辺りを阿笠の手助けの道具で使って小五郎を眠らせ、声を模倣出来る機械でも使って小五郎のように推理をしているのではないかとも考えていた。阿笠の技術力に関しては昔から知っているため、決して有り得ない訳ではないだろうと。

それに頼人の中では昔から小五郎の印象は変わっていない・・・確かにいい人ではあるのだが、調子に乗りやすい面があり細かいことはいいことがあればどうでもいいと流してしまう傾向の強い人物であると。そしてそんな小五郎の性質を利用すれば確かに小五郎を操り人形にすることも全く不可能ではないと頼人は考えたのだが、そこで一つ疑問になるのが『江戸川コナン』が何故そんな回りくどいやり方をするのかだ。

小さくなった新一と言うように『江戸川コナン』を評した頼人からすれば、例え一度や二度と言わず何度でも事件の謎を解くこと及び事件の解決の推理をするだろう。実際にそういったようにしていたと頼人は工藤家にいる時、度々事件に会ってきた新一はそうしてきた。それこそ『江戸川コナン』くらいの小さい頃からだ。

しかし『江戸川コナン』は事件を調べてはいるようではあるが、実際にそれで人前で推理をしていると言った事はしてはない・・・その理由についてを何故かと考えている内に『江戸川コナン』が探偵事務所に戻ってきて少し話をしただけだが、そこでコナン=新一だという図式が頼人の中で成り立っていた。それも最初に顔を見て、声を聞いた時からまず間違いないと見る形でだ。

・・・頼人は頭の良さもそうだが、記憶力の良さも相応にすごいだとか言えるレベルにある。ただ『江戸川コナン』は眼鏡をしてはいるものの、その眼鏡が変装及び何らかの仕掛けのあるだて眼鏡である事を見抜いた上で小さな頃の新一と姿も声も瓜二つであると合致させていたのだ。

それに『江戸川コナン』の歳に似合わない推理力の高さもそうだが、何より工藤家に『沖矢昴』という身分不確かな人物を優作に電話越しに紹介しただけで家を使わせるということが出来た理由もそれで納得が出来た。他ならぬ『工藤新一』なら実の息子であることに加えて人を見る目はあると優作が考えたことから、『沖矢昴』が家を使っても問題はないと見たのだと。

そして更に言うなら自身に話し掛ける際の子どもらしくない真剣な表情及び、やけに何もないかと疑ってかかるような姿勢だ。頼人はそれこそ単純に時間が取れたことに加えてたまには帰るようにと言われたからちょうどいいと思って帰ってきただけなのに、そうじゃないんじゃないかとしつこく聞いてきた姿は一緒に暮らしていた頃の新一を否応なしに思い出させた。少しいつもと違うことをしただけでやたらと人の事を探ってきて、それが事件であったり悪いことなら人前で推理ショーを始め、ちょっとした変化だったり別に大したことではないと分かったなら自分が納得してやたらと食って掛かった事に関しては総スルーで満足して終わる傾向があったことを。

・・・まぁ実際の所として、以前の経験を踏まえても青年と呼べる年齢の姿形をした新一があんな子どもになるということに関しては頼人としても多少信じがたい気持ちはあった。そんなことが起こり得るのかと。

しかし信じがたいことは前に大分経験している上、そうでないと辻褄が合わない事が多いために頼人はそういうことが起きたのだと考えることにしたのだ。『江戸川コナン』はどこかの裏社会に属する人間によって偶発的に小さくされた上で命冥賀に生き残ることが出来た新一であり、その裏社会の人物達を探すと共に自分が再びその人物達に目をつけられないようにするために小五郎を隠れ蓑にして動いているのだと。









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